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「金環食」 詳細解説

読み:
きんかんしょく
英名:
Annular Eclipse

太陽系では、恒星である太陽を中心に、水・金・地・火・木・土・天・海・冥の9つの惑星と準惑星が回っている。これを公転といい、地球はほぼ1年かけて太陽のまわりを公転する。また、惑星の周囲には衛星が回っている場合があり、地球の衛星である月は約1カ月かけて地球のまわりを一周する。すると、太陽と地球の間に月が位置して、地球から見ると月によって太陽が隠される「日食」という現象が起こることがある。日食には、太陽が月によりすべて隠される「皆既日食」と、一部が隠される「部分日食」、そして真っ黒な月の周囲に太陽が少しだけはみ出して見える「金環日食」(金環食)がある。

地球からは、部分日食を含めれば1年に何度か日食を観測することができる。しかし、皆既日食や金環食になる例は少なく、しかも非常にせまい範囲でしか見ることができないことが多い。太陽が金色に輝くリングのように見える金環食は、その美しさと珍しさとがあいまって、多くの人の心をひきつけてきた。日本では、1883(明治16)年10月に本州で観測され、その年に発行された新聞に、1839(天保10)年8月に江戸で観測された金環食の様子を再現した図が掲載された。つまり、東京で金環食が観測されるのは173年ぶりのことで、最近では1987年9月に沖縄などで観測されたのが最後だ。

このように大変珍しい金環食が、2012年5月21日(月)の朝、日本各地で見られるとあって、国内で金環食ブームが起きている。しかもこの年は、九州、四国、本州の関東付近にかけての広い範囲で金環食を見ることができ、ほかの地域でも部分日食を見られる絶好の機会だ。国立天文台の発表によると、東京では朝6時19分02秒から9時2分37秒まで金環食を観測でき、7時34分30秒に食が最大となる。各地の金環食に関する情報は、国立天文台ホームページの「日食各地予報」サイトなどのインターネットや、関連の書籍で知ることができる。なお、日本で次回、金環食を見られるのは2030年で、北海道でしか観測できない。

2012年は、5月21日の金環食に加えて、6月6日に太陽の表面を金星が黒い点となって横切る「太陽面通過」(日面経過)現象が起こる。この現象も珍しく、前回は2004年だったが、次回は2117年まで起こらない。さらに、8月14日には月が金星の前を横切って隠してしまう「金星食」が起こる。このように、2012年には金星にかかわる3つの珍しい天文現象が観測できることから、「トリプル金」の年として話題を呼んでいる。国内では金環食を見に行くツアーが企画されたり、プラネタリウムで特集番組が上映されたりしている。

金環食や部分日食を見るときには、専用の日食グラスなどを利用しなくてはならない。太陽は強い光と熱を放っているため、肉眼で見ると数秒で目を痛めるためだ。色付きの下敷きやサングラスなどを使って見ても目によくない。望遠鏡やカメラのファインダー越しに見ると、最悪の場合、失明することもあるので注意が必要だ。

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