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「ウミガメ」 詳細解説

読み:
うみがめ
英名:
Sea Turtle

ウミガメは海にすむカメ類の総称だ。海洋に生息する最大の爬虫類(はちゅうるい)で、リクガメと違い足がひれに似た形をしており、甲羅の中に引っ込めることはできない。熱帯を中心として世界中に分布しており、今のところ次の7種類が確認されている。1) アカウミガメ、2) アオウミガメ(クロウミガメを含む)、3) タイマイ、4)、オサガメ、5) ヒラタウミガメ、6) ヒメウミガメ、7) ケンプヒメウミガメ。このうち最も大きいのはオサガメで、最大で甲羅の長さが2m以上、体重は800kg近くにもなる。なお、ウミガメは非常に長生きすると言われているが、その年齢を推定する方法は確立されていない。

普段は海を泳ぎながら暮らし、メスは砂浜に上陸して卵を産む。また、種によって分布の範囲や回遊する経路が大きく違う。近年、海を泳ぐウミガメに電波発信機を取り付けて人工衛星で追跡するプロジェクトが世界中で行われるようになり、ウミガメの行動が明らかになりつつある。日本の砂浜にはアカウミガメ・アオウミガメ・タイマイの3種類が、4月から8月頃にかけて産卵に訪れる。どれも環境省レッドリストに載せている希少種だ。

このうちアオウミガメは甲羅の長さが1mほどで、熱帯から亜熱帯で見られ日本では小笠原諸島や沖縄県で産卵する。また、アカウミガメは甲羅の長さが1.2mにもなる大型のウミガメで、亜熱帯に多く日本が北太平洋で唯一の繁殖地だ。最近の研究によると、日本でふ化したアカウミガメが太平洋を渡り、米国・カリフォルニア沖で成長して再び日本へ戻って繁殖することがわかっている。一方、熱帯域に分布するやや小型のタイマイは沖縄でも産卵するが、確認されている個体数は比較的少ない。

ウミガメは種類や大きさを問わず絶滅のおそれがあるとして、全種がワシントン条約の附属書1に掲載されており、商業目的の国際取引が禁止されている。それでも、ウミガメの成長や繁殖を妨げる要因は少なくなく、そのほとんどは人間の活動によるものだ。具体的には、沿岸域での定置網など漁業による影響や、産卵場所となる海岸の開発、環境悪化などが指摘されている。このほかにもサメなどの天敵に襲われたり、腫瘍などの病気にかかったりして命を落とすウミガメも少なくない。

一方、地球温暖化の影響によりウミガメの「メス化」が進むのではないかと心配する研究者もいる。ウミガメがオスになるかメスになるかは性染色体ではなく、卵が埋められた砂浜の砂中温度で決まるためだ。たとえばアカウミガメの場合、29.7度よりも砂の温度が高いとメスに、低いとオスになるので、温暖化の進行によってメスが増える可能性がある。さらに、33度以上の高温が長期間続くと卵が死んでしまう。ウミガメを守るために、世界中で多くの市民団体や研究者が協力して保護活動に取り組んでいる。

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