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「マグロ」 詳細解説

読み:
まぐろ
英名:
Tuna

マグロ(まぐろ)は、スズキ目サバ科マグロ属に属する海水魚だ。決まった時期に、広い範囲にわたってほぼ一定の経路を移動する「回遊魚」の代表格で、世界中に分布している。大きい順に、1) 太平洋クロマグロ、2) 大西洋クロマグロ、3) ミナミマグロ、4) メバチ、5) キハダ、6) ビンナガ―の6種類が有名だ。クロマグロやミナミマグロは日本を含めた温帯域で生活し、メバチやキハダは熱帯域に多い。いずれも泳ぐのに適した紡錘(ぼうすい)形(円柱の両端をとがらせたような形)の体をしており、その速さは時速約80kmにもなる。

これらのマグロはいずれも食用で、クロマグロは本マグロと呼ばれる最高級品だ。また、ミナミマグロはインドマグロとも呼ばれ、クロマグロに次ぐ高級魚として刺身などに使われる。さらに、メバチやキハダも刺身に用いられ、小型のビンナガは主に缶詰の原料となる。マグロ漁は世界各地で行われており、2007年に全世界で漁獲されたマグロの量は約174.6万tに上る。このうち、日本は約24.8万tを漁獲している。一方、わが国におけるマグロの養殖量は約4500t(2008年時点)で、年々増えてはいるものの、生けす技術の開発や量産化など課題が多い。

生息水域が広い回遊魚のマグロを資源として持続可能に利用していくには、漁を行う国や消費地などが協力して保存や管理を行う必要がある。このため、「大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)」をはじめとする5つの地域漁業管理機関が海域ごとに設立され、マグロの保存管理に取り組んでいる。また、2004年には「中西部太平洋まぐろ類条約(WCPFC)」が発効し、わが国は2005年7月に加盟した。さらに、日本は2006年8月に、マグロやカツオなどの保存管理に関する一般原則を定めた「国連公海漁業協定」を批准している。

こうした中、マグロを獲り、消費する日本などの国に衝撃を与える事態が起きた。2010年3月にカタールのドーハで開催された「ワシントン条約(CITES)第15回締約国会議」で、数が減っていることを理由に、モナコが大西洋クロマグロを絶滅危惧種に指定することを提案したのだ。同条約は、絶滅のおそれのある野生生物の国際取引を禁止するもの。可決されれば、マグロの漁獲が制限されることになる。この提案をめぐり同条約の加盟国の間で激しい議論とロビー活動が繰り広げられたが、結局、大西洋クロマグロの指定は否決された。

モナコ提案の背景には、ICCATをはじめとする国際的な漁業資源管理の枠組みが、十分に機能していないのではないかという懸念をもつ国が多いことがある。相当数の国が同提案を支持したのがその証拠だ。また、実際にマグロの資源状況は世界的に見て減少または横ばいの傾向にあり、今後、大西洋クロマグロや他の魚が再び規制対象として提案される可能性は少なくない。この対策として農林水産省は、地域漁業管理機関や各国による漁業資源管理を徹底するとともに、クロマグロの完全養殖技術の確立に力を入れる方針を示している。

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