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「熱帯雨林」 詳細解説

読み:
ねったいうりん
英名:
Tropical Rainforest

熱帯雨林は、アマゾン川流域、東南アジア、中央アメリカ、オーストラリア、アフリカなど、赤道近くで主に高温多雨の地に存在する。月平均気温は25度を超え、月降水量は100mm以上に及ぶ。土壌の透水性が高いため、降雨は地中深くまで浸透してゆっくりと移動・蒸発する。このため、水源涵養、山崩れや土石流などの災害防止につながり、下流の河川の流出を安定させる役割を果たしている。また、熱帯雨林は主に常緑樹で形成され、二酸化炭素(CO2)を吸収して酸素を放出する光合成が、年間を通して活発に行われる。地球の陸地面積の6%程度だった熱帯雨林において、地球上の酸素の約40%が生産されたとも言われる。

熱帯雨林には世界の野生生物種の約半数が生息しているともいわれ、世界の植物群のうちでも最も複雑な構造と豊かな種類組成をもつ。すでに遺伝子資源として品種改良や医薬品開発などに利用されているものもあるが、大部分の生物種は未発見だ。しかし、近年、農地や牧場にするために熱帯雨林の伐採や開発が急速に進み、大きな問題となっている。熱帯雨林の土壌は薄く、植生を失うと砂漠化しやすいため、このまま減少が続けば数十年後には消失してしまうという予測もある。

国連食糧農業機関(FAO)の統計によると、世界の森林面積は約40億3000万ヘクタールあり、陸地面積の約3割を占める。しかし、2000年から2010年にかけて、年平均で1300万ヘクタールの森林が消失した。増加分を差し引いても年に521万ヘクタールが純減したことになる。とくに、南米やアフリカなどを中心に減少が大きくなっている。南米アマゾンの熱帯雨林は全世界の熱帯雨林の約3割を占め、「地球の肺」と呼ばれるほど大きな役割を果たしてきた。しかし、毎年、四国とほぼ同じ面積の約600万から700万ヘクタールもの熱帯雨林が、減少または劣化している。

こうした危機的状況を受けて、1983年に制定された国際熱帯木材協定(1985年発効)に基づき、国際熱帯木材機関(ITTO)が1986年に設立された。また、各国政府や国際機関、NGONPOなどによる保護活動や、企業による植林活動なども行われている。持続可能な熱帯雨林をつくる森林管理も重要だ。それでも、熱帯雨林の消失に歯止めをかけるまでには至っていない。さらに、熱帯雨林の消失は、そこに住む人々の生活を脅かし、生物多様性生態系の危機を招いている。

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