サイト内
ウェブ

「グリーン・ツーリズム」 詳細解説

読み:
ぐりーん・つーりずむ
英名:
Green-tourism

グリーン・ツーリズムの発祥地は、英国、ドイツ、フランスなどヨーロッパ諸国であるといわれている。これらの国では、長期間の休暇を利用して都市住民が地方の農村に宿泊して交流を図る習慣があった。わが国では、戦後の経済成長期にはむしろ、農村の都市への憧れや、経済的な事情による農村から都市への一方的な人口流出が顕著で、農村地域へ目を向ける都市住民は少なかった。しかし、近年になって、都会での時間に追われる生活を離れて、きれいな空気や水にふれ、産地の新鮮な食を味わうなど、農村漁村で健康的に時間を過ごしたいと考える都市住民が増えてきた。

一方、地方においても、産地の農産物の販売拡張、農家対策、過疎化対策、都市との文化交流、教育交流などの面から、都市住民との交流を望む声が出てきた。国でもこれらの動向をふまえて、1995年に「農山漁村滞在型余暇活動のための確保と基盤整備の促進に関する法律」を施行し、農林漁業体験民宿業について登録制度を実施。1999年には「食料・農業・農村基本法」を成立させるなど、グリーン・ツーリズムによる都市と農村の交流を促進するための法律関係の整備などを進めている。また、農林水産省と観光庁が共同で、「グリーン・ツーリズム推進連絡会議」を設置して、新たな旅行ニーズに対応した地域のグリーン・ツーリズムの取り組みを推進している。

グリーン・ツーリズムは多くの地方で、さまざまな展開を見せている。たとえば、かやぶき屋根などの伝統的な農漁村への宿泊体験、稲刈り、そば打ちなどの「農」「食」体験、定置網揚げによる「漁業」体験など、バラエティに富んだメニューが増えている。さらに、夏休みを利用した子どもたちの農作業や漁業体験、ふるさとまつりなどの文化行事への参加、棚田オーナー制度への参加など、環境教育、文化交流も盛んになっている。

グリーン・ツーリズムの歴史がヨーロッパ諸国にくらべて浅いわが国では、課題も多く残されている。農村漁村民宿を利用する都市住民は、旅館、ホテル、一般民宿などに宿泊する人にくらべてまだ少数であり、都市住民に対してグリーン・ツーリズムの魅力をもっとアピールする必要がある。また、多くの農村漁村でさまざまな知恵を絞っているが、まだ都市住民のグリーン・ツーリズムへのニーズを農村漁村側が把握しきれておらず、それぞれの地域の特性を活かしたソフトの開発も必要だ。そのためには、多彩なメニュー作りができる人材やメニューを実行するインストラクターなどを養成することなどが急務となっている。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。