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「富士山」 詳細解説

読み:
ふじさん
英名:
Mt.Fuji

富士山は、静岡・山梨両県の県境に位置する活火山だ。一般的に火山は高い山地の上に噴出するのが普通だが、富士山は平地に生じた火山で、基底部の直系が約40km、高さ3000mを超える、世界でも珍しい火山だ。今からおよそ1万年前に、現在の美しい姿がつくられたといわれている。山頂には永久凍土も見られ、夏でも平均気温は5℃前後、冬はマイナス20℃を下回る。年間降水量は平均2500mmと見積もられ、これらの水は伏水流となって山麓の白糸の滝、忍野八海、三島市の湧泉をつくり出している。

また、植物については、山地帯と高山帯の間にある亜高山帯にはシラビソやブナが生育し、山麓ではヒノキ、アカマツなどを見ることができる。さらに動物については、高山種は少ないものの、イワヒバリやヤマネ、キツネ、モモンガなどが生息している。低山帯の森林にはニホンカモシカ、リスやテンなどの姿も見られる。環境省は富士山北麓の動植物の生態を把握し直すために、2001年8月から2002年11月にかけて、専門分野の研究者が生態調査を実施した。この調査によって、植物、動物、菌類など合わせて3000種を超える生物種が確認され、北麓の生態系の豊かさを再確認できた。

このような美しく特異な火山であることから、世界遺産登録を目指す動きが何度も高まった。しかし、わが国を代表する山である富士山には、年間約30万人もの人が登る。このため、登山者のし尿処理、ゴミの不法投棄地下水汚染、オフロード車の自然破壊などの問題が深刻化し、候補地としての推薦が見送られてきた。こうした中、ユネスコの世界遺産委員会は2013年6月にカンボジアで開催した第37回委員会で、富士山を世界文化遺産として登録することを決定した。

当初、諮問機関の国際記念物遺跡会議(ICOMOS:イコモス)が、静岡県の三保松原を構成資産から除外するよう勧告していた。しかし、この方針に日本だけでなく各国の委員が異を唱え、一転して同地を含めての登録となった。世界遺産一覧表への記載名は、「富士山 - 信仰の対象と芸術の源泉」だ。世界文化遺産となったことで、行政の環境保全対策を強化することが急務となっている。登山者のモラル向上も重要だ。

山梨県、静岡県、富士山の保全に取り組むNPOなどが、富士山をめぐる課題の解決に乗り出している。たとえば、微生物がし尿を分解するバイオトイレを設置したり、ゴミマップを作成したりしてゴミの分布を把握するとともに、ゴミの持ち帰り運動を実施している。また、オフロード車の取り締りや不法投棄の監視、見回りなどを実施し、ある程度の成果は出ている。それでもまだ十分とはいえないため、地元の自治体は入山料を徴収するなどの入山規制を導入する方針を固めている。

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