A: 「食料安全保障」を意味するフード・セキュリティーは、世界の貧困や日本の食料安全保障などの問題を解決していく上で重要なテーマだ。アースポリシー研究所長のレスター・ブラウン氏が、「世界のフード・セキュリティーが崩壊に近づいている」と著書で警鐘を鳴らしたことをきっかけとして、フード・セキュリティーはにわかに注目された。ブラウン氏は、来日時に行った講演で、世界のフード・セキュリティーの崩壊を防ぐために次の対策が必要であるとしている。1） アフリカにおけるＨＩＶ／エイズの流行を食い止める、2） ひとりあたりの農地の減少に歯止めをかける、3） 中国の砂漠化を防ぐ、4） 過耕起による土壌侵食を防ぐ、 5） 地球温暖化を防ぐ、 6） 地下水の過剰なくみ上げや、河川からの過大な取水を抑制する、 7） 工業化、都市化による農業用水や農地の転用を規制する。
A: 2008年７月に開かれた北海道洞爺湖サミット（Ｇ８）で採択された、世界のフード・セキュリティーに関する首脳声明では、バイオ燃料の持続的な生産・使用に関する施策と食料安全保障の両立を確保することなどが確認された。また、フード・セキュリティーについて次の内容が盛り込まれた。1) 世界の食料生産を促進し、農業投資を増加させる重要性を認識、2) 輸出規制の撤廃と、ＷＴＯ交渉の加速化、3) 途上国に対する支援の拡大、4) 食料備蓄システムの構築に関する検討、5) 食料品市場の監視、6) フォローアップのための専門家グループの設置、7) 農業大臣会合の開催。
