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「玄米」 詳細解説

読み:
げんまい
英名:
Brown Rice

収穫したイネの籾(もみ)を乾燥、脱穀して籾殻(もみがら)を取り除いただけで、精白していない米を玄米という。収穫した米は、通常はこの玄米として出荷される。玄米には胚乳や胚芽を含む「ぬか層」が残っている。一方、玄米を精白して、ぬか層などを取り除き、胚乳の部分だけにしたものが白米である。胚乳は主にデンプン質から成るが、ぬか層や胚芽にはビタミンB1、ビタミンE、脂肪、タンパク質、リン、カリウム、鉄分などさまざまな栄養素が含まれる。また、食物繊維も多く含んでいる。このため、健康面から玄米に注目し、積極的に食事に取り入れる玄米食が普及している。玄米の食べ方としては、白米と同様に炊いたり、白米に玄米を混ぜて炊いたりするほか、玄米がゆや炊き込みごはんにしてもおいしい。また、玄米を購入する時に、そのままではなく精白の度合いを「三分つき」(ぬか層を三割取り除いた米、以下同様)、「五分つき」、「七分つき」などに加減してもらうこともできる。普通の炊飯器で玄米を炊く場合は、最低でも一晩は水に漬けておくなど準備が必要だが、最近は玄米専用の圧力鍋や、玄米炊飯機能が付いた炊飯器のほか、普通炊飯器で炊ける玄米なども流通している。さらに、玄米パンなどの食品もある。

玄米の効用としては、これらの栄養素による健康面での効果と、食育などその他の効果がある。まず健康面では、食物繊維が豊富であり、整腸作用や動脈硬化の予防などが期待される。また、ビタミンB1にはデンプンなどの炭水化物を分解してエネルギーを取り出す機能のほか、脂肪などの酸化防止作用があり、ビタミンEにも抗酸化作用があり動脈硬化や心臓病、脳卒中などを防ぐと考えられている、さらに、玄米が多く含むミネラル類のうちカリウムは、血圧の上昇を抑え、筋肉の収縮を円滑にする働きがある。このように、玄米は動脈硬化や高血圧など現代人が心配する疾病や症状の予防や抑制、さらにはダイエットにも効果があるとされ、年代を問わず人気がある。一方、玄米は、国民が心身ともに健康になるために国が進めている食の教育である「食育」の観点からも注目されている。

玄米からぬか層だけを取り除いたものが胚芽米で、玄米と同じようにさまざまな栄養素を含む一方、玄米に比べて食べやすく、消化されやすいとされる。また、玄米を水に漬けて、わずかに発芽させた「発芽玄米」への関心が高まっている。発芽玄米は脳の代謝を良くすると言われているギャバ(γ-アミノ酪酸)を含んでいるとされる。独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構の中央農業総合研究センターなどは、2006年に発芽玄米入りのおにぎりやおはぎを開発した。また、民間の食品メーカーなどがさまざまな製品を販売しており、日本発芽玄米協会や、同協会による普及のためのプロジェクトなどもできた。

国の動きをみると、農林水産省は2007年3月に、「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」を改正し、同年4月以降に出荷される分から、精白していない玄米も特別栽培米と表示ができるようにした。従来は、同ガイドラインに沿ってつくられていても玄米は特別栽培農産物に区分されていた。同ガイドラインは、農薬や化学肥料を一定程度削減して栽培した農産物を対象として1992年につくられた。2007年改正は、環境配慮技術により栽培された農産物という情報が消費者にわかりやすく提供されるようにすることなどが主な目的だ。特別栽培米には、栽培責任者名、確認責任者名、精米確認者の氏名又は名称、住所・連絡先などを表示する必要があるが、玄米の場合は精米確認者名の表示をする必要がない。ただし、玄米を石抜き、小分け、色彩選別などする場合は精米確認者に関する記載が必要となる。

玄米は精白しないため、残留農薬の問題が指摘されている。この点について、愛知県衛生研究所は、玄米に残る農薬が調理によってどの程度除去できるのか研究を行った。それによると、1992〜2001年度の10年間に調査した市販の玄米約150検体から18種類の農薬(のべ107農薬)が検出されたが、いずれも食品衛生法の基準値を下回っていた。また、同研究所では精米や米とぎ、炊飯などの工夫によって残留農薬のほとんどを除去することができるとしている。一方、水田などの土壌に蓄積された天然のカドミウムが、米などの作物の栽培中に吸収、蓄積されることがあるが、食品衛生法に基づく規格基準では、「玄米はカドミウムを1.0ppm(玄米1kg中に1.0mgのカドミウム量)以上含んではならない」と定めており、それ以上含むと販売・加工自体が禁止される。

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