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「温泉法」 詳細解説

読み:
おんせんほう
英名:
Hot Spring Law

温泉法は1948年に制定された環境省所管の法律で、温泉を保護し、その利用の促進を図ることなどを目的としている。同法では温泉を、「地中からゆう出する温水、鉱水および水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度または物質を有するものをいう」と定めている。また、別表で、温泉源から採取されるときの温度が摂氏25度以上、もしくは、リチウムイオンやラドンなど18物質のうち1つでも含んでいることとしている。また、温泉の湧き出る源を源泉という。

温泉は限りある自然資源であり、将来も利用できるよう保護し、適正に利用する必要がある。同法では、土地掘削の許可制など温泉の保護や、温泉の利用、温泉成分などの表示義務などについて定めている。しかし、25度以上であれば成分に関係なく温泉とされるほか、定められた成分が1つでも含まれれば冷たい水でも温泉とみなされるため、定義が広すぎるという批判もある。

近年は、温泉への関心が高まり、温泉利用の増加が続くなど温泉ブームといえる状況にあり、温泉を貴重な観光資源として積極的な活用を求める声がある。一方で、噴出量が年々減少傾向にあるなど温泉資源の枯渇に対する不安がある。また、温泉利用施設の衛生管理面や、着色剤や水道水の使用など情報提供における問題が明らかになり、利用者の不信感が生まれている。このため環境省は2003年に「温泉の保護と利用に関する懇談会」を設置し、温泉法の課題などについて検討を行い、2005年に温泉法を改正して、従来からあった温泉成分に関する表示義務に加え、加水、加温、循環装置の利用、入浴剤添加、消毒処理など、温泉の状況についての表示を義務づけた。

その後、2007年には、入浴者などに対する温泉成分などについての情報提供の充実のため、温泉成分の定期的な分析(10年ごと)と成分掲示の更新の義務づけ、また、限りある温泉資源の持続可能な利用を進める必要から、温泉の掘削、利用などの許可の際の条件付与規定の新設などが行われている。
また、科学的根拠に基づく温泉資源保護対策を実施するため、温泉の掘削、増掘、ポンプ設置の許可について、国が技術的なガイドラインを定め、都道府県に提供するとしている。

一方、一部の温泉の原水には、ほう素やふっ素が含まれており、河川にそのまま放流すると国が定めた環境基準を超え、環境に影響を与える場合がある。このため、環境省は、水質汚濁防止法に基づくほう素・ふっ素・硝酸性窒素に関する排水基準が2007年に見直しを迎えるにあたり、温泉旅館についての基準値を強化する方針を打ち出していたが、結局見送ることとなった。しかし、自然由来の温泉が全体の3割に満たない現状や、日帰り温泉入浴施設が水質汚濁防止法の排水規制の対象外であり、旅館との間で不公平であるといった問題が指摘されている。また、温泉の掘削に伴う生態系など環境への影響を問題視するNGOなどの意見もある。

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