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「地産地消」 詳細解説

読み:
ちさんちしょう
英名:
Local Production for Local Consumption

地産地消は、地域(地元、地場)で生産されたものを、その地域で消費することを指す略語だ。農産物や食品の輸送手段や保存技術が発達していなかった頃は、生産物をその地域で食べ、消費するのは当たり前のことだった。しかし、食生活の変化や経済成長、都市化、貿易の進展など社会情勢や構造の変化に伴い、現代では他の地域で生産された物を消費する人が多くなった。生産地と消費地が離れると、生産者と消費者の信頼関係が弱くなり、食品への不信感が増大する。また、農林水産業の衰退や地域環境の悪化など、さまざまな問題の発生につながる。一方、食や環境に対する安全・安心を望む消費者の声や健康志向の高まりを受けて、地元で生産したものをその地域で消費しようという動きが20世紀後半から日本各地で起きている。地産地消は、地域発のこうした取り組みの総称であり、消費者と生産者との「顔が見える」関係の構築に役立つと期待されている。

地産地消については、全国にさまざまな取り組みがある。農林水産省がつくった「直売所を中心とした地産地消の推進」という手引書によると、全国の農産物直売所数は全国に1万3538カ所あり、1カ所あたりの年間販売総額は平均で1億円にもなる。また、公立の小・中学校などでの地場農産物の使用状況も高い。具体的な事例をみると、千葉県佐倉市では1976年から各学校に1人ずつ学校栄養職員を置き、各学校の単独調理場方式による学校給食を実施。同市の学校栄養士会が中心となって、市内の小中学校に地場産物の供給を行っている。一方、広島県の世羅高原6次産業ネットワークでは、同地に散在する地産地消関連の1次、2次、3次産業までの生産団体をつなぎ、それぞれの特徴を活かして地産地消運動の相乗効果を高めている。こうした事例は全国に数多くあり、生産者と消費者をつなぐNPOなど市民の取り組みも盛んだ。

農林水産省は「食料・農業・農村基本計画」で、地産地消の推進が食料自給率の向上に必要であると位置づけている。同省が策定した2007年度の「地産地消推進行動計画」では、実行する項目として次のものがあげられている。1) 地産地消推進のための体制整備、2) 地域における地産地消の実践計画の策定促進、3) 農業者団体や食品産業関係者による自主的な取り組みと、直売や加工の促進、4) 人材育成、5) 成功事例の収集、その他。また、食育基本法に基づき2006年に策定された食育推進基本計画で、食育を促進するために取り組むべき施策として地産地消の推進が位置づけられた。さらに、学校給食で都道府県単位での地場産物を使用する割合の増加が目標として設定されているが、目標達成には至っていない(2009年1月現在)。

農林水産省がまとめた「地産地消に関する意識・意向」の調査結果(2006年度)によると、日常生活での食材の買い物や食事などで、生産者、消費者ともに9割が「地産地消を意識している」と回答し、農産物生産や販売などにおいて、地産地消を意識している生産者は全体の9割に達した。また、地産地消の利点として生産者、消費者ともに「新鮮な食材を買える」ことをあげた。さらに、生産者にとっては不揃い品や規格外品も販売可能となることや、生産意欲が高まることも大きな利点であるという結果が出ている。2006年12月には、地産地消を推進、支援する関係者の情報交換と連携を促進するため、全国地産地消推進協議会が設立された。今後、地産地消がさらに広がるためには、生産者や生産地域、地元の農産物が購入できる場所などに関する情報の提供と普及が必要だろう。

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