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「デング熱」 詳細解説

読み:
でんぐねつ
英名:
Dengue Fever

デング熱は、デングウイルスに感染した蚊が媒介するウイルス感染症だ。デングウイルスを媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊が生息する、東南アジアや南米、アフリカなど熱帯や亜熱帯地域に多い。世界中で年間に約1億人もの患者が発生しているといわれている。デングウイルスは人から人に直接感染することはなく、ウイルスをもつ蚊に刺されることで感染する。血清型は4種類あり、感染した型のウイルスには免疫を得る。潜伏期間は2日から15日ほどで、感染しても発症しない場合が多くある。

デング熱にかかると、急な高熱、頭痛や眼の痛み、顔面の紅潮、結膜の充血などの初期症状が見られる。その後、全身の筋肉や骨、関節が痛み出し、ひどい倦怠感に襲われる。発症して3、4日すると胸や体幹などを起点とする発疹が現れ、顔面や四肢に広がる。発熱は最長で1週間ほど続き、体内からウイルスが消失するとこれらの症状は消える。ただし、まれにショック状態に陥ったり出血したりするデング出血熱に移行する場合もある。特効薬はなく、点滴や解熱剤などの対症療法でしのぐしかない。

日本でデング熱に感染した例は、2014年まで60年以上報告されていなかった。しかし、2014年8月に、海外渡航歴のない人からデング熱患者が発生した。原因を調べたところ、感染者が同時期に都立代々木公園や新宿御苑付近を訪れていたことがわかった。環境省による蚊の捕獲調査や、東京都による消毒などの対策がとられたが、その後も国内各地で感染者が発生した。ただし、日本ではウイルスをもつ蚊がいても、次世代の蚊に冬を越して伝わることはないという。

デング熱などの感染症に関しては、地球温暖化との関係が1990年代から指摘されていた。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、温暖化が進行して世界各地で気温が上昇すると、生物が媒介する疾病のリスクが増大すると警告してきた。環境省の研究プロジェクトも、温暖化によりヒトスジシマカの分布域が広がれば、東北地方でもデング熱が流行する可能性があると報告していた。世界保健機関(WHO)は2014年8月に、デング熱やマラリアなどの感染症による被害を軽減するために、気候変動への対策を進める必要があると報告した。

デング熱にかからないようにするためには、今のところ蚊に刺されないようにすることが唯一の対策だ。海外に行く時だけでなく、国内でも屋外では長袖の服や長ズボンを着たり、虫よけを使ったりして蚊を避けるしかない。

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