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「環境保全条例」 詳細解説

読み:
かんきょうほぜんじょうれい
英名:
Local Ordinance for Environmental Conservation

環境保全条例は、地域の環境保全を目的として、自治体が規制を行うために制定する条例の総称だ。条例とは、都道府県や市町村などの地方自治体が、議会の議決により制定する法令のことだ。地方自治法に基づき、自治体は国の法令に違反しない限り、地域における法律に基づく事務を処理するために条例を制定することができる。義務を課したり権利を制限したりする場合には、原則として条例によらなければならない。また、自治体の長が権限をもつ事務について定めるものを規則という。条例や規則の制定を、国による立法に対して「自主立法」と呼ぶこともある。

同じような名前の条例に環境基本条例があるが、両者の目的や内容は異なる。環境基本条例は、自治体における環境行政の基本的な事項を定めており、1993年の環境基本法制定を受けて制定されたものがほとんどだ。一方の環境保全条例は、高度経済成長期に各地でできた公害防止条例が改正されたものが多い。典型7公害はもちろん、工場や事業場、自動車などの運輸部門、建築工事、日常生活などを対象として、環境を保全し公害を防止するための事項を定めている。

全国の自治体の中で最も巨大で、広範な規制を行っている東京都の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(環境確保条例)を例にとってみよう。同条例は環境負荷低減について、地球温暖化対策、フロンの管理、省エネ、建築物や家電製品対策などを定めている。また、工場公害を防止するため、化学物質の適正管理、土壌・地下水汚染の防止、特定行為の制限などを行っている、さらに、自動車が原因の排出ガス温室効果ガス騒音・振動対策や、緊急時の措置なども定めている。

条例により罰則を設けることも可能だ。都の場合、知事による計画変更命令などに違反すると、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられることもある。一方、自主立法の強みを生かして、国の法律より踏み込んだ規制を行う自治体も少なくない。埼玉県は生活環境保全条例により、水質汚濁防止法で定める規模未満の施設や、水濁法の対象外である施設に対して規制基準を適用している。このような規制を横出し基準と呼ぶ。

近年、環境保全条例を改正して、地球温暖化や化学物質管理、土壌・地下水汚染などへの対策を充実する自治体が増えている。

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