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「福島復興再生基本方針」 詳細解説

読み:
ふくしまふっこうさいせいきほんほうしん
英名:
Basic Policy for Recovery and Reconstruction of Fukushima

福島県は震災と津波に加えて、原発事故により放出された放射性物質によって広い範囲にわたり深刻な被害を受けた。福島全域において警戒区域と計画的避難区域をはじめとする地域で住民の多くが避難し、県によると2012年3月現在で約16万人が避難している。また、人口流出に歯止めがかからず、経済活動は停滞し、雇用も確保できていない。こうした状況を改善するため、東日本大震災復興特別区域法や福島復興再生特別措置法が成立し、震災と原子力災害からの福島の復興と再生に関する施策を実施していくための体制を整えた。

福島復興再生特別措置法に基づき、政府は2012年7月13日に「福島復興再生基本方針」を閣議決定した。東日本大震災に伴う原子力災害からの福島の復興と再生を図っていく施策を、総合的に推進するための基本的な方針だ。全9部から成る。原子力災害からの福島の復興と再生については、はじめに「福島の再生なくして、日本の再生なし」との方針を掲げ、「新生ふくしまの創造」を実現する姿勢を強く打ち出している。その上で具体的な再生と復興の目標として、安全で安心して暮らせる生活環境の実現、地域経済の再生、地域社会の再生を目指す。

避難解除等区域などにおける復興と再生に関しては、これまで原子力政策を推進してきた国の社会的責任を再確認した上で、責任をもって地域住民と向き合うとともに市町村の復興と再生を進めると明記している。具体的には、帰還希望者が皆帰還し、若い世代が帰還する意欲をもてるよう対応していく。また、避難指示区域の見直しに伴って起きている問題や不安の解消、原発事故で分断された家族や地域の再生、雇用の確保、インフラ整備、追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下となることを目指す対策、賠償の完全実施の確保、被災地方自治体への人的措置と中長期的な財源確保などをあげている。

また、福島県全域への施策として、健康管理調査の実施とデータベース構築による健康管理、県が行うホールボディカウンターなどによる住民の検査用機器の整備への支援、食品や農林水産物などの放射能濃度の測定、除染の実施、放射線による児童の健康不安解消、放射線の人体影響に関する研究開発などを推進する。基本方針はこのほかに、原子力災害からの産業の復興と再生、産業復興再生計画の認定に関する事項、再生可能エネルギーの利用拡大など重点推進計画などについて定めている。

なお、基本方針は政府が策定したが、福島復興再生協議会からの要望や福島県知事からの提案があった場合は、変更案を作成して閣議決定を求めることができる。また、県が作成して国が認定する「産業復興再生計画」や「重点推進計画」、「避難解除等区域復興再生計画」などの主要な計画も、基本方針に即して定められることになっている。

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