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「農林漁業バイオ燃料法」 詳細解説

読み:
のうりんぎょぎょうばいおねんりょうほう
英名:
Act on Promotion of Utilization of Organic Resources Originated from Agriculture, Forestry or Fisheries as Materials for Biomass

地球温暖化を防止するため、石油などの化石燃料に代わる燃料調達が急がれている。また、国内経済の安定化を図るためにも、価格変動が大きい原油からの脱却が求められている。一方、国内における農林漁業の育成も重要な課題だ。こうした各方面からの要請に対応するため、米国やEU、ブラジルなどの諸外国では、バイオ燃料の生産拡大を図るためのさまざまな措置が講じられている。わが国は、2002年に策定され2006年に改定された「バイオマス・ニッポン総合戦略」で、国産バイオ燃料の生産拡大を打ち出している。その推進のために2008年に制定、施行されたのが、「農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律(農林漁業バイオ燃料法)」だ。

農林漁業バイオ燃料法の目的は、農林漁業由来のバイオマスである農林漁業有機物資源の需要開拓と有効利用、そしてバイオ燃料の生産拡大を図り、農林漁業の持続的な発展とエネルギー供給源の多様化を目指すことだ。農林水産・経済産業・環境の主務大臣が定める基本方針に基づき、農林漁業者とバイオ燃料製造業者が共同で、原材料の生産から特定バイオ燃料の製造に至る行程を改善する「生産製造連携事業計画」を立てて申請すると、主務大臣の認定を受けることができる。特定バイオ燃料としては、木炭・竹炭、木質固形燃料、バイオエタノールバイオディーゼル(BDF)、木質バイオマスガス、メタンなどのバイオガスなどがある。

生産製造連携事業計画の認定を受けると、バイオエタノール混合ガソリンに関するガソリン税の軽減、法人税や所得税の一部についての税額控除、農業改良資金・林業・木材産業改善資金・沿岸漁業改善資金などの無利子貸付け、中小企業投資育成株式会社による株式引受などの優遇措置を受けられる。また、産業廃棄物処理事業振興財団による債務保証を受けられる場合もある。

生産製造連携事業計画の認定は、2011年8月までに8回行われている。このうち、2010年6月に認定された「北海道苫小牧地区バイオ燃料地域利用モデル実証事業」は、多収穫米などを供給する現地の広域農業協同組合と民間のバイオ燃料製造事業者が連携して、バイオエタノールを製造するものだ。また、2011年8月に認定された「宮城県大崎市菜の花バイオディーゼル燃料製造事業」は、地元の農家が供給する菜の花を用いて、東京のバイオ燃料製造業者がBDFを製造する計画だ。

一方、農林漁業有機物資源の生産や、バイオ燃料の製造に役立つ研究開発事業を行うとする者は、「研究開発事業計画」を作成することで主務大臣の認定を受けることができる。研究開発事業の対象となるバイオ燃料の種類や内容は限定されておらず、特定バイオ燃料の製造高度化を図る研究開発なども対象となる。

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