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「公共車両優先システム」 詳細解説

読み:
こうきょうしゃりょうゆうせんしすてむ
英名:
Public Transportation Priority Systems

公共車両優先システム(PTPS:Public Transportation Priority Systems)は、バスなどの公共車両を道路で優先的に走行させるための仕組みだ。情報通信技術(ICT)を利用して、バスがなるべく停止しないように進行方向の信号を優先的に青にすることや、バス専用・優先レーンの設定による交通規制など、さまざまな方法がある。政府による高度道路交通システム(ITS)の新交通管理システム(UTMS)のサブシステムとして、警察庁や国土交通省が全国各地での導入を後押ししており、 2008年度末現在、40都道府県で整備されている。

PTPSの効果として、公共輸送機関の利用が進み、信号待ちによる停止時間が少なくなることで、排出ガスの削減など環境負荷の抑制が期待できる。環境省は、PTPSの整備によって公共交通機関の利用を促進し、交通渋滞を緩和して環境負荷を低減することを目指している。早くからPTPSの整備に力を入れてきた神奈川県の藤沢市では、PTPSの導入によりバス交通のサービス水準が向上することで、市民の移動手段をマイカーからバス交通へ転換させることを目的としていた。一方、バスの定時運行が確保されるなど利用者の利便性が向上するほか、バス専用レーンにおける違法走行が減るなど、安全面でのメリットも大きい。

PTPSの中でも注目されているのが、ICTの活用だ。バスに取り付けた発信機からの信号を、バス路線に沿って設置された感知器(光ビーコン)が受信し、進行方向の信号が青になっている時間を延長して優先的に走行させる仕組みだ。このシステムでは、バス専用レーンを違法に走る車両への警告を行うこともできる。千葉県や大阪府でこうした原理によるPTPSをバス路線の一部に導入したところ、対象区間内でバスの運行時間が大幅に短縮された。実際の公共車両優先施策は、PTPSとバス専用レーン、バスロケーションシステムなどの手法を組み合わせて運用されることが多い。

また、最近では次世代型の路面電車であるLRTの運行にも、PTPSの技術が応用されている。広島市の広島電鉄は、2008年度にLRTの優先通行を確保するシステムに関する実証実験を行った。一方、PTPSと同じような制御システムによりパトカーなどの緊急車両を優先走行させる仕組みとして、現場急行支援システム(FAST)がある。

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