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「PM(粒子状物質)」 詳細解説

英名:
Particulate Matter

環境中にはさまざまな種類や大きさの粒子があり、これらをまとめて粒子状物質(PM)と呼ぶ。PMには、工場や自動車など人間の活動に伴って発生するものと、土ぼこりのように自然界に存在するものがある。また、固体だけでなく、ミストなど霧状の液体を指す場合もある。PMはとても細かく、有害物質を含む場合もあるため、大気環境や人間の健康に与える影響が早くから指摘され、排出規制が行われてきた。

PMには根拠となる法律や規制によってさまざまな呼び方がある。たとえば、工場などの固定発生源から発生する粒子状物質のうち、燃料の燃焼などに伴って生ずるのが「ばいじん」、いわゆるすすだ。また、ばいじんに硫黄酸化物や有害物質などを加えたものが「ばい煙」で、いずれも大気汚染防止法によって排出が厳しく規制されている。さらに、工場などで物を砕く時などに出る粒子は「粉じん」と呼ばれる。PMのうち、大気中に浮遊するものが浮遊粒子状物質(SPM)だ。国はPMについて、自動車などの移動発生源対策や燃料対策、車種規制や運行規制などを行っている。

車種規制の代表的な法律が自動車NOx・PM法で、初めは1992年に自動車NOx法として制定された。その後、2001年の改正でPM対策が加えられたが、大気汚染の状況に大きな改善が見られず、2007年に再び改正された。改正法は、局地汚染を改善するため、交差点などPMなどによる大気汚染が深刻化しやすい場所を重点対策地区に指定して対策を実施する。また、流入車対策として、指定地域に自動車を乗り入れる一部の事業者に、排出抑制計画の作成や報告などを義務づける。東京都は法制化より前に、条例でPM排出基準を満たさないディーゼル車の都内での走行を禁止した。

一方、粒径2.5μm以下(マイクロメートル:1μm=100万分の1m、ミクロンとも)以下の微小粒子物質がPM2.5だ。PM2.5には、物の燃焼などに伴い排出される1次粒子と、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、VOC(揮発性有機化合物)などガス状の汚染物質が大気中で光化学反応を起こして生成される2次粒子がある。PM2.5は人間の気管支を通りやすく、肺胞など肺の奥に達するため、気管支炎やぜんそくといった呼吸器疾患の原因となることが指摘されている。このため、2009年にPM2.5の環境基準が定められ、1年平均値が15μg/立法m以下で、かつ、1日平均値が35μg/立法m以下であることとされた。近年、中国から飛来した汚染物質の影響を受けて、日本各地でPM2.5の測定値が高くなる現象が起きている。

SPMのうち、ディーゼル自動車の排気中に含まれる微小粒子がDEPで、発ガン性やぜん息様症状などアレルギー疾患との関連性を指摘する研究もある。また、直径が50nm以下のSPMをウルトラファインパーティクル(超微小粒子)と呼ぶ。

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