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「クリーン・コール・テクノロジー(CCT)」 詳細解説

読み:
くりーんこーるてくのろじー
英名:
Clean Coal Technology(CCT)

石炭は、化石燃料の中でも石油や天然ガスに比べて可採埋蔵量が多く、単位熱量当たりの価格が安い。2010年度のわが国における石炭の消費量は1億7655万tで、このうち発電用が7640万tを占める。しかし、日本は国内で使用する石炭のほとんどを海外からの輸入に頼っており、1次エネルギーの約2割、発電量の4分の1を石炭火力が占めている。石炭の燃焼に伴って発生する硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、ばい煙など大気汚染物質の除去や、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出抑制も重要な課題だ。

こうしたなか、環境に配慮した石炭利用技術のクリーン・コール・テクノロジー(CCT)への期待が高まっている。石炭を英語で「coal」ということからこう名付けられた。わが国のCCTは世界でも最高水準で、2010年6月に閣議決定されたエネルギー基本計画でも、ゼロエミッション石炭発電の実現や石炭のクリーンな利用の重要性が明記された。CCTは、採用する技術や設備により、いくつかの手法に分けられる。

そのひとつが、石炭燃焼の高度化やガス化発電など石炭発電の低炭素化だ。具体的には超臨界圧ボイラや微粉炭発電、バイオマスとの混焼などがある。また、ガスタービンと蒸気タービンを合わせた石炭ガス化複合発電(IGCC)や、燃料電池との複合発電(IGFC)など高効率な発電技術の開発も進みつつある。一方、石炭をアンモニアやメタノールなどを製造するための原料ガスにする技術は、液体燃料に代わるものとして注目されている。

現在のCCTは、二酸化炭素回収・貯留(CCS)も含めた一貫したプロセスとして開発が進められている。CCSは、CO2を大気中へ排出せずに地中や海洋などにため込む技術で、すでに米国など海外で実用化されている。2012年12月には、豪州で日豪共同による酸素燃焼CCSの実証試験が開始された。このほかにも、製鉄やセメント製造過程の低炭素化、石炭燃焼排ガス高度処理や石炭灰有効利用などの環境負荷低減など、さまざまなCCTがある。

CCTの普及を図るため、通産省(当時)は1992年に毎年9月5日を「クリーン・コール・デー」と定めた。現在、国は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じて技術開発の支援などを行っている。主なプロジェクトとして、クリーン・コール・テクノロジー推進事業、戦略的石炭ガス化・燃焼技術開発(STEP CCT)、革新的ゼロエミッション石炭ガス化発電、環境調和型製鉄プロセス技術開発などがある。さらに、インドネシアや中国などと連携した技術開発にも力を入れている。

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