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「有機EL」 詳細解説

読み:
ゆうきEL
英名:
Organic Electro-Luminescence

有機ELは、電気を通す性質をもたせたガラスやフィルムの上に、石油などからつくった有機物を0.1ミクロンほどの薄さで塗り、電圧をかけることによりさまざまな色に光らせる技術だ。有機ELの特長として、省エネ性能の高さと画質の精細さがある。20世紀末に実用化されて以来、オーディオ機器、小型テレビやパソコン用のディスプレイ、携帯端末などの部材として用いられるようになった。また、点や線ではなく面として光る「面光源」という特性から、電球や蛍光灯に代わる次世代照明として期待されている。

2010年6月に閣議決定された「新成長戦略(基本方針)」は、有機ELやLEDなどの次世代照明を2020年までに100%普及させるという目標を掲げた。また、同月に改定されたエネルギー基本計画にも、有機ELなどの高効率照明を家庭・業務の両部門で普及することが明記された。政府によるこうした方針化と、メーカーなどによる技術開発の進展があいまって、2010年代後半から有機ELの性能向上や低価格化が進んだ。

発光効率の向上も図られ、2011年9月には、パナソニック電工と出光興産の合弁会社が有機EL照明パネルの出荷を国内外の市場向けに開始した。また、従来はテレビなどディスプレイ向けの有機ELパネルは小型のものがほとんどだったが、急速に大型化が進んでいる。さらに、その薄さと軽さを生かして、高機能化が進むデジタルカメラや携帯情報端末、3Dテレビ用のヘッドセットなど、新たな市場が開拓されつつある。

有機EL照明の高効率化と高品質化を図るためには、基盤技術の開発が欠かせない。すなわち、光学干渉による影響を抑えて効率を向上させる光取り出し技術、製造工程を高速化するプロセス制御技術、有機ELを構成する基板・透明電極・有機層などの高効率化・高品質化・低コスト化を図る材料開発技術などだ。このような観点から、地方自治体による産学連携や支援の動きが盛んになっている。山形県は、有機EL関連製品の開発に取り組む県内の企業に対する補助を行っている。また、熊本県は有機薄膜研究会を立ち上げて、有機薄膜技術を核とする産学官連携による技術拠点の形成を目指している。

最近の技術で注目されるのが、伸び縮みする有機ELディスプレイだ。文部科学省などによる科学研究費の助成を受けて開発が進められている。曲面などへ自由に貼りつけることのできる有機ELが実現されれば、まったく新しい機能や形状をした機器や端末の開発が可能となるだけに、情報や医療などさまざまな分野への応用が期待される。

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