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「温泉発電」 詳細解説

読み:
おんせんはつでん
英名:
Hot Spring Power

温泉の熱を利用して行う地熱発電を、温泉発電と呼ぶ。日本は火山国と呼ばれるほど火山が多く、火山地域の地下深くにはマグマや高温の流体などがある。地下の熱により温められた源泉の熱を蒸気に変えて取り出し、発電に利用するのが温泉発電だ。温泉発電は既存の温泉を利用するため、新たな掘削のための手間や費用がかからない長所がある。温泉施設では余った源泉の湯を熱いままで排出する場合が多く、これを未利用エネルギーとして活用すれば地球温暖化対策としても期待できる。

環境省が2011年4月に公表した「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」では、温泉発電の賦存量と導入ポテンシャルは、いずれも72万kWと推計されている。温泉をいくつかのタイプに分けた場合、もっとも温泉発電に適しているのが資源の豊富な「熱水型」と呼ばれる温泉で、日本に944カ所ある。この数は、国内にある温泉の約13%にあたる。このほかにも「蒸気加熱型」や「伝導加熱型」などの温泉がある。

温泉発電に用いられる代表的な発電方法がバイナリー発電だ。これは、80〜150℃の蒸気・熱水などがもつ熱を、水よりも沸点が低いアンモニアなどの媒体へ熱交換して蒸気を発生させ、タービンを回して発電する技術だ。そのなかでも53〜120℃の低温域で運転できるカリーナサイクル発電が有望であるとされている。2010年4月からは新潟県の十日町市にある松之山温泉で、環境省の競争的資金を活用したバイナリー地熱発電の実用化に向けた実証研究が、地熱技術開発(株)と(独法)産業技術総合研究所により実施されている。既存の100℃以下の温泉による発電の試みは全国初で、研究期間は3年間の予定だ。

電力不足などの対策として、温泉発電を含む地熱発電の普及拡大に向けた機運が高まる一方で、温泉地を抱える地方自治体や温泉事業者などからは「源泉の枯渇につながるのではないか」という強い懸念の声が上がっている。この点について産総研の研究グループは、温泉事業を営む側が温泉の温度や湧出量などのデータを日常的にとっておくとともに、発電事業者側は地熱と温泉との関係をきちんと説明し、データに基づいた指摘に対して誠実に回答すべきであると指摘している。

また、温泉が多く分布する火山周辺は国立公園などの保護地域であることが多い。このため、温泉発電の普及を図るにあたっては温泉利用に加えて自然環境との共生を目指す必要がある。

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