A: 環境省は2011年4月に公表した「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」のなかで、温泉発電の賦存量と導入ポテンシャルについて、いずれも72万kWと推計している。この数字は、2008年に日本地熱学会誌で発表された論文「2050年自然エネルギービジョンにおける地熱エネルギーの貢献」から引用したものだ。地熱発電全体の推計賦存量である3310万kWと比べると小さな値だが、火山国と呼ばれる日本には豊富な地熱資源があり、温泉施設も多いことから温泉発電のポテンシャルは非常に大きい。
A: 温泉発電に用いられる発電方法のうち代表的なものが、バイナリー発電だ。80〜150℃の蒸気・熱水などの熱を、水よりも沸点の低いペンタンやアンモニアなどの媒体へ熱交換することで発生する蒸気を使ってタービンを回し、発電する。「バイナリー」は英語で「2つのもの」を表す単語で、水と低沸点媒体の2つの媒体を利用することからこう呼ばれる。バイナリー発電のうち、53℃〜120℃という低温域で運転可能な方式がカリーナサイクル発電だ。カリーナサイクル発電については、経済産業省の「地熱発電に関する研究会 中間報告」が2015年までに製造コストを半減することを目指すとしており、普及に拍車をかける技術として期待されている。