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「薄膜太陽電池」 詳細解説

読み:
はくまくたいようでんち
英名:
Thin Film Solar Cell

太陽の光エネルギーを直接電気に変えて発電する太陽電池を用いる太陽光発電は、石油などの化石燃料と違い二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを発生せず、再生可能なクリーンエネルギーとして期待されている。太陽光発電の普及には太陽電池の生産コストを下げる必要があるが、現在主流となっている結晶シリコン太陽電池は、発電効率が高い半面、原材料となるシリコン不足が課題となっている。こうしたなか、シリコンなどの原材料を大量に使わずに済む薄膜太陽電池が、次世代型の太陽電池として注目されている。

薄膜太陽電池のなかでも実用化が進んでいるのが、薄膜シリコン太陽電池だ。ガラスなどの基盤上にガス状のシリコンによって約1ミクロン(1000分の1mm)の薄いシリコン膜を形成してつくる。従来の結晶シリコン太陽電池に比べて発電効率はやや落ちるが、約100分の1の厚さしかないため使用するシリコンの量が圧倒的に少なく、コストダウンを図ることができる。当初は電卓や腕時計などの用途に限られていたが、屋外用の製品も登場している。また、薄さを生かして柔軟性をもたせた製品も開発、販売されており、太陽電池の用途拡大にも貢献している。

シリコンの代わりに銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)などの化合物を用いたCIGS太陽電池も開発、製品化されている。CIGS太陽電池は2〜4ミクロンという薄さに加えて、さまざまな化合物を原材料として使用できる長所がある。柔軟性をもたせることも可能なことから、電気自動車や人工衛星などさまざまな用途への応用が期待されている。2010年3月には、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場のリニューアル工事に合わせて、内野席の屋根に約1600枚のCIGS太陽電池が設置されて話題を呼んだ。

一方、光吸収層にシリコンなど無機物の代わりに有機物を用いる、有機系太陽電池も登場している。有機系太陽電池には、有機色素を用いて電力を得る色素増感太陽電池と、電子受容材料と電子供与材料という2種類の有機薄膜半導体を組み合わせてつくる有機薄膜太陽電池がある。いずれも耐久性や発電効率の向上が課題だが、柔らかいプラスチック板へ塗布したり印刷したりすることも可能だ。将来的にはシリコン系で難しいとされるモバイル機器用バッテリーなどの用途が期待されており、国や関係機関、大学などが研究開発を進めている。

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