A: シリコンや各種化合物などの原材料を、基盤上に薄い膜として形成した太陽電池が薄膜太陽電池だ。無機系のものと有機系のものに大別でき、前者のうち最も実用化が進んでいる薄膜シリコン太陽電池の厚さは約1ミクロン(1000分の1mm)しかない。同じく無機系のCIGS太陽電池も2〜4ミクロンという薄さだ。さらに、有機薄膜太陽電池に至っては発電層の厚さが約0.1ミクロンしかなく、フィルム型のものも製品化される見通しだ。
A: 薄膜太陽電池のうち薄膜シリコン太陽電池は、従来の結晶シリコン太陽電池と比べて発電効率は6〜7割程度低いが、使うシリコンの量が少なくて済み、柔軟性をもたせることができるなどの利点がある。この特性を生かして、携帯電話などのモバイル機器やコンピューター、旅行・アウトドア用品などへの応用が期待されている。また、屋外での設置にも耐える。一方、銅などの化合物を使うCIGS太陽電池は、モバイル機器などへの搭載はもちろん、耐放射線性に優れているため宇宙空間などの特殊な環境でも使用できる。さらに、有機薄膜太陽電池は柔軟なプラスチック板に塗ったり印刷したりすることが可能だ。