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「グリーン物流」 詳細解説

読み:
ぐりーんぶつりゅう
英名:
Green Logistics

日本における二酸化炭素(CO2)の排出量のうち、約2割を自動車や飛行機などの運輸部門が占め、その排出量は2億5700万tCO2に上る(2005年度)。また、運輸部門からの排出量のうち、約半分が自家用乗用車によるもので、残りを営業用、自家用貨物車、飛行機、船舶、鉄道などが占めている。こうした状況を受けて、環境負荷の少ない物流システムである「グリーン物流」が注目されている。グリーン物流は、環境負荷低減の効果に加えて、合理化によって効率的な輸配送が実現できるため、企業のコスト削減につながる点が特徴だ。企業の社会的責任(CSR)の普及も追い風となり、率先して取り組む企業が増えている。

グリーン物流の定義について、国土交通省は、2006年に策定した「CSRの見地からのグリーン物流推進企業マニュアル」の中で、狭い意味と広い意味の両方の定義を紹介している。それによると、狭い意味のグリーン物流は、京都議定書を遵守する観点から、CO2などの温室効果ガスを低減させる物流だ。一方、広い意味のグリーン物流については、環境問題に関しては、CO2のみならず窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)などの大気汚染物質も対象とし、物流に関しても、単に物を運ぶということではなく、組織的な対応や人材育成、事業所内での取り組みなどのシステム全体としてとらえるべきであるとし、同マニュアルでは広い意味の定義を採用している。

物流事業者が事業活動を通じて取り組むことができるグリーン物流には、主に次の種類がある。1) 共同輸配送、2) モーダルシフト、3) 荷主への働きかけ、4) 天然ガス自動車(CNG車)やハイブリッド自動車など低公害車の導入、5) ドライバーの運転が記録されるデジタル式タコグラフ(デジタコ)の導入、6) 物流拠点の整理合理化、7) 荷主から物流を一貫して請け負う「サード・パーティー・ロジスティクス」(3PL)による合理化、8) 輸配送システムの導入、9) エコ包装、10) 顧客との環境コミュニケーションの実践。このうち1)の共同輸配送は、何台かのトラックで輸配送していたものを1台のトラックにまとめることで、走行車両の台数を減らし、温室効果ガスの削減を図るものだ。また、2)のモーダルシフトは、幹線貨物輸送をトラックから鉄道や船などに転換する手法だ。

このほかのグリーン物流の取り組みには、会社組織によるものとして、1) ISOなどの認証取得、2) 戦略や計画の策定、3) 環境・CSR報告書の作成、4) 温室効果ガス排出量の常時監視、5) 法令の遵守などがある。また、事業所内での取り組みとして、1) ゴミの分別、リサイクル、減量化など3Rの推進、2) 再資源化の促進、3) 省エネルギー、4) 社内コミュニケーションの活用などが、人材育成面では、1) 省エネや安全運転の指導、2) 環境教育などがある。さらに、地域社会における取り組みとして、1) 清掃活動、2) 事業所の緑化や植林、3) 環境教育などを行っている企業もある。

2004年には、荷主企業と物流業者が協力して、運輸部門での地球温暖化対策を促進するために、グリーン物流パートナーシップ会議が発足した。(社)日本ロジスティクスシステム協会(JILS)、(社)日本物流連合会、経済産業省、国土交通省の主催、(社)日本経済団体連合会の協力により運営され、次のワーキンググループを置いて活動を行っている。1) 事業調整・評価WG、2) CO2排出量算定WG、3) 広報企画WG。また、「グリーン物流パートナーシップ事業」の審査を行っている。同事業は、荷主と物流事業者の連携により行われるCO2排出量を削減する取り組みを支援するものだ。提案が採択された企業は、次の支援や補助制度を活用することができる。1) ソフト支援事業:物流等省エネルギー対策導入指導事業、2) 普及事業:エネルギー使用合理化事業者支援事業。

今後、物流事業者だけでなく、さまざまな分野の事業者にグリーン物流の取り組みが広がっていくことが期待される。また、大手物流会社だけでなく、中小の運送業者へいかに普及させるかが課題だ。

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