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「レアメタル」 詳細解説

読み:
れあめたる
英名:
Rare Metal

地球上にほとんどない金属や、経済的、技術的な理由から抽出するのが難しい金属をまとめて、「レアメタル」と呼ぶ。経済産業省の委員会では、現在、将来に渡り工業用需要がある31鉱種をレアメタルと定義している。具体的には、次の30鉱種にレアアース(生産が特定少数国に偏っていたり、埋蔵量が少なかったりする金属で、17鉱種をまとめて1鉱種と数える)を加えたものだ。

◆レアメタル
リチウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、インジウム、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、タリウム、ビスマス

レアメタルには、ごくわずかな量を加えるだけで製品の機能を飛躍的に増大させることができる特長があり、その特性を利用して、家庭用品から産業機械、ハイテクなど幅広い分野で用いられている。具体的な用途としては、携帯電話やパソコンなどの日用品や、自動車用の排ガス触媒、ハイブリッド車や燃料電池車の高性能モーターに用いられる希土類磁石、2次電池など、さまざまなものがある。また、ステンレス鋼をはじめ、耐熱性、耐食性などの機能を持つ特殊鋼には、いろいろなレアメタルが添加されている。産業にとって欠くことのできない重要な原材料の1つであることから、「産業のビタミン剤」、「産業の米」などとも呼ばれる。

一方、中国やインドなどいわゆる新興国での経済発展を背景に、レアメタルの需要が世界的に拡大しており、その安定供給が懸念されている。とくにエネルギー資源の大部分を輸入に頼る日本では、資源やエネルギーに対する世界全体の需要量が急増しており、その安定的な供給確保がますます難しくなりつつある。たとえば、タングステン、インジウムなど多くのレアメタルの産出国である中国では、近年の経済成長により、レアメタルの国内需要が増大しており、多くの金属原料について輸出税の引き上げや輸出許可制度の導入などの輸出抑制策を講じている。

また、レアメタルは、資源の偏在や特定生産への集中のため、資源国における紛争や自然災害、労働争議、戦略的な生産削減などによって影響を受ける。もし、レアメタルの供給が行われないような事態が起きれば、さまざまな製品の生産が止まってしまう状況も予想される。事実、2010年に中国がレアメタルの輸出規制を行い、わが国の産業への影響が懸念される事態となった。

こうした中、レアメタルをはじめとする限りある金属資源のリサイクルへの関心が高まっており、現在、世界各国でそのリサイクル方法が研究されている。レアメタルは製造工程で発生するくずや携帯電話、電子機器などの使用済み製品からリサイクルすることが可能であり、日本国内に存在する貴重な資源として注目されている。政府が2009年12月に閣議決定した「新成長戦略」や、その実現に向けた経済対策(2010年9月)にもレアメタルのリサイクル促進が盛り込まれている。

一方、レアメタルの使用削減や代替物質の開発など国内調達の道を探る取り組みも活発化している。(独法)物質・材料研究機構(NIMS)は2010年10月、従来の材料に比べて約10倍の熱凝集耐性を備えた排ガス触媒材料を開発した。これにより、排ガス清浄化技術におけるレアメタル使用量の大幅な削減が可能になる。

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