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「リチウムイオン電池」 詳細解説

読み:
りちうむいおんでんき
英名:
Lithium ion battery

電池には、一度使ったら終わりの一次電池と、繰り返し充放電できる二次電池がある。二次電池の開発は、1960年代のニッケルカドミウム電池(ニカド電池)の実用化をきっかけに進み、その後ニッケル水素電池なども商品化されたが、現在の主流は1990年代に実用化されたリチウムイオン電池になると見られている。リチウムイオン電池の特長としては、1) 電圧が3.7Vと高電圧(ニカド電池やニッケル水素電池の約3倍)であること、2) エネルギー密度が高いこと、3) 完全に充放電しないと電池の容量がだんだんと小さくなる「メモリ効果」が起こらずつぎ足し充電が可能なこと、4)電池を使わない間に放電してしまう「自己放電」が少ないこと―などがある。

こうした長所から、リチウムイオン電池は小型軽量化や高機能化が進む携帯電話やパソコンなどの機器に広く搭載されている。その仕組みは、放電時には負極から正極に向かってリチウムイオンが移動することで電子が発生し、充電時には反対に正極から負極に向かってリチウムイオンが移動することで電気を得る。これまでは正極にリチウムとコバルトの化合物、負極に炭素を含んだ材料が使われてきたが、最近は他の物質を含む正負極材料の実用化も進み、パワーや容量、小型軽量化などが進みつつある。このような技術開発に伴い、普及が進んでいるハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)に搭載する二次電池としても期待されている。

経済産業省は「次世代自動車戦略2010」の中で、リチウムイオン電池の性能向上とコスト低減に力を入れるとしている。この一環として、同省は2010年4月にリチウムイオン電池など蓄電池開発の拠点となる「技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター」を、大阪府池田市の産業技術総合研究所関西センター内に設立した。リチウムイオン電池について共通的に評価できる基盤技術の確立を行うほか、材料メーカーと電池メーカーとのすり合わせ期間の短縮などを促進して、高性能な蓄電池と材料開発の効率加速化を図る方針だ。

一方、リチウムイオン電池には、満充電状態で保存すると劣化しやすいことや、極端な過電圧や過放電によって電極が不安定な状態になって激しく発熱するといった短所もある。リチウムイオンバッテリーパックなどの小型充電式電池をめぐる環境対策としては、2001年に施行された資源有効利用促進法に基づき、回収と再資源化が義務づけられている。

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