A: 現在、廃棄物系バイオマスのなかで、かなりの量が一ヵ所に集積されるのは、食品廃棄物と建設時に発生する木材がその代表であり、これらはバイオマスの中でも有力視され、すでにエネルギーなどに利用されている。紙を生産する過程で排出される黒液も、製紙業が盛んなわが国では、バイオマスエネルギーが注目される以前から、実際にエネルギーとして利用されている。
家畜排泄物、麦わら、もみ殻などの農作物、山林にある間伐材などをエネルギーとして再利用する場合は、「広く浅く」分布しているため、これらをいかに効率的に集めるかが課題となる。植物(栽培作物)系バイオマスは、既存の燃料などと比較して高コストであるため、利用効率を上げるための技術開発が必要とされる。
最近注目されているのが、バイオマス由来の自動車燃料だ。滋賀県から始まり、全国に広がった菜種の油からディーゼル車用のエネルギーを取り出す「菜の花プロジェクト」や、民間企業が農業廃棄物や廃材から自動車燃料としてエタノールを生産するプラントも実用段階に入っている。
バイオマスエネルギーが化石エネルギーに代わるものとして実用化されるためには、まだ課題も多いが、石油などの化石燃料資源が乏しいわが国にとっては、十分魅力あるものといえる。
A: アメリカでは、麦わらやサトウキビの絞り粕からバイオテクノロジー技術を使って2003年に自動車用の燃料を開発・出荷した。この技術によれば、生ゴミなどからも燃料が生産でき、将来的には、現行ガソリン消費量の4分の1に相当する燃料をバイオマスで生産できるという。
スウェーデンでは、豊富な森林資源を背景にバイオマス利用は盛んで、2002年のエネルギー供給に占める新エネルギーの割合18%のうち、その90%をバイオマスが占めている。注目を集めているのはあらかじめ燃すことを目的に栽培している「サリックス草」で、草というよりも高さ5メートルにもなる潅木。発熱・発電のための木質バイオマス原料として農家が栽培しており、ヨーロッパ各地での栽培も普及してきた。
ドイツでは、バイオマスは1次エネルギー消費の1.4%を占めており、バイオマス発電容量は2001年段階で35万キロワットに達していると推定されている。そのうちの3分の2はゴミ発電で、次に多いのが木屑や廃材を利用したものでバイオマス発電の約20%を占めている(参考資料「NEDO海外レポート」2003年〜2004年)。