悪臭を感じることなく、快適で、生活や周辺環境に密着した地域特有の「かおり」がある環境。公害が環境問題の中心だった時代には、悪臭の除去や低減が臭気対策の主流だった。しかし、環境問題の多様化や複雑化に伴い、生活環境の質的な向上(アメニティ)を求める傾向が強まり、単なる臭気対策ではなく、快適なかおりを楽しむ生活が求められるようになった。
環境省は、臭気に対する意識の変化に対応するため、2000年に「におい環境」という考え方に基づく「におい環境指針」を策定した。同指針は、達成目標として「臭気環境目標」と「かおり環境目標」を設定している。臭気環境目標は「不快なにおいの低減と臭気に関する望ましい環境の維持・達成」を、かおり環境目標は「心地よいかおりを感じることができる快適な環境の実現」を目指す。
同省は2001年に、「かおり風景100選」事業を実施した。豊かなかおりとその源となる自然や文化・生活を一体として将来に残し、伝えていくことを目的としている。また、「かおり風景全国フォーラム」を開催している。臭気やかおり環境を取り巻く状況の変化を受けて、1969年設立の悪臭公害研究会が1987年に環境庁所管の(社)臭気対策研究協会となった。同協会は2003年に(社)におい・かおり環境協会へ名称変更し、2011年に公益社団法人となった。