廃棄物処理法は、1970年の制定以来、廃棄物・リサイクル問題に対応するため、また、社会状況の変化などを受けて改正が重ねられてきた。21世紀に入って循環型社会形成の気運が高まり、各種リサイクル法が制定される一方で、廃棄物の排出量は高い水準で推移し、不法投棄などの不適正処理が依然として大きな社会問題となっている。こうした状況に対応するため、不適正処理対策の強化と、効率的な廃棄物処理を確保するための制度の合理化を講ずることなどを目的に2003年に同法が改正され、同年6月に公布された。
改正法は、不適正処理への対応とリサイクル促進を強化したのが特色で、不法投棄を未然に防止するため、都道府県などが廃棄物であることの疑いがある物の処理について報告徴収や立入検査ができる規定を整備したほか、不法投棄の未遂罪を創設し、法人が一般廃棄物を不法投棄した場合の罰金を1億円に引き上げるなど、罰則強化により不適正処理の低減が図られた。また、産業廃棄物に関する緊急時の国の調査権限の創設など国の関与を強化し、都道府県への職員の派遣など国の責務を明確化している。さらに、欠格要件に該当するなど、とくに悪質な廃棄物処理業者の許可取り消しや、廃棄物処理業の許可に係る欠格要件の追加、事業者が一般廃棄物の処理を委託する場合の基準の創設などの措置が講じられた。
一方、廃棄物のリサイクルを促進するため、広域的なリサイクルを行う場合の環境大臣の認定による特例や、産業廃棄物処理施設が同じ性状の一般廃棄物を処理する場合の許可を不要とするなどの施策が盛り込まれた。