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「環境報告書」 詳細解説

読み:
かんきょうほうこくしょ
英名:
Environment Report

環境報告書」とは、企業などの事業者が、自分の会社が地球環境や地域の環境にどんな影響を与えているか、そして環境を守るためにどんな努力をしているかなどを取りまとめて発表したもの。経営トップのポリシー、環境保全に対する方針や目標、計画、環境マネジメントのシステム、地球温暖化対策や省エネなどによる二酸化炭素排出量の削減、廃棄物の排出抑制などの取り組み、化学物質の削減やグリーン調達状況などが盛り込まれている。

環境報告書を制作することで、消費者や地域住民などとのコミュニケーションが深まり、事業活動における環境配慮の取り組み状況に関する説明責任を果たし、社会からの信頼を得ることに役立つとされている。報告書の信頼性を高めるために、監査法人やNPOなどの第3者が内容を審査しているケースも多い。環境報告書を作成・公表している企業は年々増加している。環境省の「環境にやさしい企業行動調査」によると、2003年度の調査では大手企業を中心に743社だったものが、2006年度には933社にのぼった。

なお近年は、環境分野だけではなく、社会・経済分野まで記載した「サスティナビリティ(持続可能性)報告書」、企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)に基づく取り組みの成果を公表する「社会・環境(CSR)報告書」の作成を行う企業も増えている。環境報告書、CSR報告書、サステナビリティ報告書の多くが、「トリプル・ボトムライン」の考え方に基づいて作成されている。トリプル・ボトムラインは、社会生活や企業の活動は、環境・経済・社会という3つの要素の上に成り立ち、持続可能な発展には、それら3つの要素を重視した取り組みが欠かせないという考え方だ。

サステナビリティ報告書のガイドラインを作る団体であるGRI(Global Reporting Initiative)が作成する「GRIガイドライン」は、CSR、またはサステナビリティ報告書の国際的なスタンダードだ。同ガイドラインによると、企業の環境パフォーマンス指標として、原材料、エネルギー、水、廃棄物、輸送などがあげられる。また、2006年に改訂された第3版では、ステークホルダーの意見を重視することのほか、国連グローバル・コンパクトなどの国際的な規格との整合性が重視されている。

また、経済については、株主だけではなく顧客、供給業者、従業員などへの配分についての指標が設定され、地域社会やNGO/NPOなどへの寄付の状況などについても触れられる。さらに、社会的な指標としては労働慣行や公正な労働条件などがあり、雇用、安全衛生、人種の多様性と機会均等などが指標とされる。

一方、日本の環境省が公表している「環境報告書ガイドライン(2003年度版)」では、事業者がその事業活動に伴う環境負荷の状況や事業活動における環境配慮の取り組み状況を取りまとめ、定期的に公表・報告するものを総称して環境報告書と呼ぶとしている。同省では、環境報告書ガイドラインとGRIガイドライン併用の手引きも公表している。

環境情報の公表をさらに活発化していくために、各省庁や政府関係機関に報告書の作成を義務づける「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(環境配慮促進法)」が国会で成立し、2005年4月から施行された。同法では、大企業に環境配慮の状況の公表を行うように努めるとともに、環境報告書を作成して、作成した環境報告書などの信頼性を高めるように努めることを求めている。

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