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「公害防止管理者」 詳細解説

読み:
こうがいぼうしかんりしゃ
英名:
Environmental Pollution Control Operator

第2次世界大戦後、日本は急速な経済発展を遂げた。それと同時に各工場から排出される有害化学物質や騒音・振動などによって、1960年代に公害問題が深刻化した。水俣病イタイイタイ病、四日市ぜん息などの公害は大きな社会問題になった。こうした公害問題を克服するために、1970年、公害対策基本法をはじめ、大気汚染防止法、水質汚染防止法など14の法律が制定又は改正され、一連の法律に対応して、企業においても公害対策に力を注ぐことが求められることとなった。しかし、規制ができても、工場などにそれを守る体制がなくては公害防止の効果は望めない。そのため、1971年、工場内に公害防止に関する専門的知識を持っている人を配置し、組織的に対応することを義務づけた「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」が制定され、この法律の施行により、公害防止管理者制度が発足した。

この法律の対象となる特定工場とは、製造業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業に属していて、ばい煙発生施設、特定粉じん発生施設、一般粉じん発生施設、汚水発生施設、騒音発生施設、振動発生施設、ダイオキシン発生施設のいずれかを設置している工場である。法律が定める公害防止組織は、基本的には「一定規模以上の特定工場」と「その他の特定工場」に大別され、公害防止統括者、公害防止主任管理者、公害防止管理者の3つの職種で構成される。公害防止管理者の資格には、大気関係1〜4種、水質関係1〜4種、騒音・振動、特定粉塵、一般粉塵、ダイオキシン類、公害防止主任管理者の計13種類の区分がある。

公害防止管理者になるには、(社)産業環境管理協会が毎年1回実施する国家試験に合格することが必要だ。合格すると、公害発生施設の運転・維持・管理ならびに燃料や原材料の検査等を行う役割を担う。また、技術資格又は学歴及び実務経験のある人が書類審査を経て一定の講習を受講し、有資格者となる方法もある。2006年からは課目合格制度が導入され、受験年を含め、3年以内に必要とする課目に合格すれば資格取得が可能となった。公害防止管理者は、わが国の公害防止の原点になる資格であるが、これらの資格取得者の工場管理によって、日本は世界でもトップクラスの環境技術とその運営を実現することができたといえる。

一方、公害が社会問題であった当時と比べて、現在の環境問題は多様化し、事業者は公害防止対策を定型的な保全業務と考えるなど、公害防止の重要性への認識が低くなっている。また、事業者による排出基準超過やデータ改ざんなどが明らかになっているほか、企業の社会的責任(CSR)が求められ、公害防止への全社的な取り組みが求められつつある。
このため、環境省経済産業省は、「環境管理における公害防止体制の整備の在り方に関する検討会」を設置し、2007年3月に報告書を公表。事業者向けガイドラインをまとめた。ガイドラインは、公害防止の基本的方向性として、1) 方針の明確化、2) 組織の構築、3) 予防的取組、4) 事後的取組、5) 関係者との連携からなる「全社的環境コンプライアンス」への取り組み―などをしている。また、事業者が取り組む具体的な方策として、1) 工場・現場における取り組み、2) 本社・環境管理部門における取り組み、3)従業員教育への取り組み、4) 利害関係者とのコミュニケーションの取り組み―などが提示されている。

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