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海野和男のデジタル昆虫記

連載「日本昆虫記」12 モンシデムシの子育て

連載「日本昆虫記」12 モンシデムシの子育て
2010年04月16日

 初夏の季節、ヒミズやモグラなどの小さな動物の新鮮な死体が落ちていることがあります。喧嘩して穴から追い出されてしまったのです。
 気持ち悪いと思わないで、よく観察すると様々な昆虫が集まっていることがわかります。その中でひときわ面白い行動をするのが、ヨツボシモンシデムシです。北海道から屋久島までの林でよく見られる15mmほどの大きさの美しい甲虫です。
 小さな動物の死体のところで出会ったモンシデムシのカップルは、死体の下の土を掘ってまわりに掻き出し、丸ごと地中に埋めてしまいます。その作業は実に手早く、数時間で獲物の姿が見えなくなってしまうのです。後には小さなモグラ塚のように、ほんの少しさらさらした土が盛り上がっているだけです。山で見かける小動物の死体はほとんどが死んで間もないものですが、モンシデムシがいなかったらあちこちひからびた死体が転がっているのかもしれません。モンシデムシは森の掃除屋さんです。
 土の中でモンシデムシは動物の皮をはぎ肉団子を作ります。卵は周囲の土の中に産み付けられ、幼虫が孵化すると、親虫はチイチイと音を出します。幼虫を呼んでいるのです。母虫は集まってきた幼虫に吐き戻した餌を口移しで与えて、大きくなるまで育てます。まるで鳥の親子みたいな昆虫です。
モグラの死体のところにやってきたヨツボシモンシデムシ(下)、子供にえさを与える(上)

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