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インデックス投資の2倍以上を実証!株式投資の〝魔法の公式〟とは?/タザキの投資本案内「株デビューする前に知っておくべき『魔法の公式』」

  • 2024年2月23日
  • Walkerplus

こんにちは。YouTubeチャンネル「聞いてわかる投資本要約チャンネル」を運営している、二児の父でサラリーマン投資家のタザキ(@tazaki_youtube)と申します。投資・マネー系の本を300冊以上読破した経験から、特におすすめの書籍や、コスパの高い書籍を、経験値や投資スタイル別で紹介。2024年2月2日には、著書「しっかり儲ける投資家たちが読んでいる 投資の名著50冊を1冊にまとめてみた」を刊行しました。

今回は「株デビューする前に知っておくべき『魔法の公式』 ハラハラドキドキが嫌いな小心者のための投資入門」(著:ジョエル・グリーンブラット/パンローリング)という本をご紹介していきます。同書のタイトルを見て、株式投資に公式なんてあるわけないと思われる方も多いでしょう。実際、僕もそう思っていましたので、自分自身で行った検証結果と併せてご紹介します。

著者のジョエル・グリーンブラットは、コロンビア大学経営大学院の非常勤講師の経験もあり、ヘッジファンドの創設者でファンドマネージャーとしても活躍した人物です。

このような本は、公式の部分だけがおもしろいのではないかと、僕も読む前は思っていました。しかし、実際に読んでみると、公式を除いても投資に関する有益な情報が多く書かれており、非常に勉強になる本でした。

多くの他の本でも紹介されていますが、例えば「ダンドーのバリュー投資」(著:モニッシュ・パブライ/パンローリング)という本には、バフェットとランチをする権利を6500万ドルで取得したこともある著名な投資家が、ジョエル・グリーンブラットを現代最高のバリュー投資家の一人として高く評価しています。そして、この魔法の公式に関して、グリーンブラットがバックテストで検証した結果、魔法の公式が30%の年率リターンを生み出しており、これはS&P500インデックスを圧倒しているということが、この本で述べられています。

■株式投資で最低限確保したい収益率
「最低収益率」という概念は投資を行う際に絶対に理解しておくべき、最低限確保すべき収益率のことを指します。この点は特に初心者にとって重要だと思います。

我々は、お金を増やす場所に投資したいと考えます。例えば、タンスの中にお金を隠しておけば、安心感は得られるかもしれませんが、その金額は変わりません。その間に、100円のガムが110円になるようなインフレが起こると、タンスの中のお金の購買力は実質的に減少してしまいます。

次に銀行預金です。現在の金利で、例えばネット銀行で金利の高いところでは0.1%程度の利息がつくかもしれません。しかし、この金利ではインフレに追いつけません。

そこで、国債という選択肢が考えられます。国債は「無リスク資産」とも呼ばれる資産です。同書では、過去に10年物の米国債が年利6%だった時代を挙げ、無リスクで6%の利回りを得ることが(仮に市場金利がそれより低い時期でも)全ての投資のベンチマークだとしています。

これを言い換えると、株のような元本保証がない資産に投資する際は、最低でも7%以上の収益を見込めなければ投資してはいけない、ということですね。

■魔法の公式とは
同書の公式の意図は非常にシンプルで、2つの軸があります。

・収益率が高い銘柄を購入する
・割安な銘柄を購入する

収益率が高い銘柄は人気があるため割高になりがちで、割安な銘柄は何らかの理由で人気がなく、収益率が低いと思われがちです。しかし、この公式が目指すのは、収益率が高く、かつ割安な銘柄を見つけることです。

基本的なステップとしては、先ほど7%以上を確保すべきとした資本収益率の高さを順位付け、次に利回りの高さで順位をつけます。その合成順位から、ポートフォリオを構成していくというものです。

資本収益率には、ROICを使う方法や、ROAを使う方法があります。利回りに関しても複数の指標がありますが、最も身近な指標としては、PERの割安な順に順位を付けると良いかと思います。

同書の実証結果を見てみると、米国の全上場銘柄と、時価総額10億ドル以上の銘柄のみを対象とした2つのパターンで検証が行われています。このシミュレーションは1988年から2004年の17年間にわたって行われました。

表では、どちらのケースでも、17年間の平均リターンは市場平均やS&P500を上回っています。

この結果については、「ダンドーのバリュー投資」でも触れられており、インデックスを上回る結果として紹介されています。シミュレーションを行いたい方は、"Magic Formula Investing"という専用のウェブサイトで行うことができます。しかし、私たちが日本株で実践しようと思えば、代わりのツールを使うしかありません。

その際の基準の一部に、ROAが最低25%以上、PERが5%以上の銘柄を選ぶというものがあります。

極端な割安株や小型株はリスクが高いため、基本的には投資を避けるべきだという考えに基づいています。日本株では、ROA25%は相当高い水準であるため、かなり銘柄が絞られるでしょう。

■魔法の公式の弱点
先ほどの表を詳しく見ると、魔法の公式は17年間の平均では、市場平均の2倍から3倍近くのリターンを出しているものの、1年単位で見ると、負ける年も少なくありません。公式が連続して指標に負けることもあるという事実は、同書でも明確に指摘されています。

公式が正確に機能するためには、ある程度の期間が必要です。その一方で、魔法の公式を利用する投資家に限らず、多くの投資家は「数年連続で機能しない戦略に執着することができない」という傾向があると指摘されています。これは非常に重要なポイントで、どの投資手法にもよい時期と悪い時期が存在しますが、厳しい時期を乗り越えてその手法を継続することで、後の年に大きなリターンを得られる可能性があるのです。投資手法の適合性はサイクル的に変動すると考えられ、この点を同書は強調しているのではないかと思います。

3年連続で魔法の公式に従うと、95%の確率で市場平均を上回ることができたと、同書の検証結果には書かれています。

ベンジャミン・グレアムの言葉を引用しており、短期的には、ミスター・マーケットは低迷した価格や高騰した価格で株式を売買することがあり、感情的に行動することがあるとされていますが、長期的には異なります。ミスター・マーケットは数年の間に正しい価格に収束するというグレアムの主張は、魔法の公式が機能するという根拠の一つになっています。

■あくまでポートフォリオを構築することに注意
私のYouTubeチャンネルでは、魔法の公式が実際に現代の日本市場でも通用するのかどうか、シミュレーションをしてみたことがあります。その結果、2020年時点で公式に合致する上位10銘柄でポートフォリオを組んだところ、3年後には市場平均の2倍近くの結果を示すことができました。これは、まさに同書の実証通りの結果でした。

しかし、その10銘柄の市場平均に対するリターンを詳しく見ると、「5勝5敗」という結果でした。これは、一部の大きなリターンを示す銘柄が、ポートフォリオ全体の成績を押し上げていることを示しています。

同書でも、公式に基づいて20~30銘柄でポートフォリオを組むことが推奨されています。これは、「公式に合致しても、多くは平均以下の銘柄で、一部の高リターン銘柄が全体の成績を引き上げている」という傾向があるからだと考えられます。特に、割安株投資のスクリーニングではこのような傾向がよく見られるため、注意が必要です。

同書の中には、魔法の公式の概要やミスター・マーケットに関する話、収益率についての説明など、多岐にわたる内容が含まれています。また、序盤では著者が自分の子供に語りかけるような分かりやすいストーリーも掲載されており、公式以外の内容も非常に充実していると感じました。



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