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持続可能性の時代にマッチで農業ブームの兆し? 1万人の「農業意識調査」結果を大公開!

  • 2024年2月28日
  • レタスクラブニュース


家庭菜園に取り組む方が、2020年頃から増加傾向です。ご自宅でミニトマトやバジルを育てている、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もう一歩進んで、農業を体験したことはありますか? 体験してみたいと思いますか? 
実は今、若い世代が農業にアツイ視線を注いでいるらしいのです。JA共済が行った「農業に対する意識・実態調査」の結果をもとに、レポートします!

Z世代の4割超が地方暮らしを希望! 1/4が「農業をやってみたい」



JA共済(全国共済農業協同組合連合会)は「春の農作業安全確認運動」に合わせ、全国の10代~50代の男女1万人を対象に、農業に対する意識調査を実施しました。その結果をご紹介しましょう。

まず、地方暮らしに対する意向を聞いてみました。


全体では3人に1人以上が 「地方に移住したい・地方に住み続けたい」と答えています。 年代別で見ると、10 代が48.9%と最も高く、15〜27歳の Z 世代も45.1%と高くなっています。
地方移住と聞くと、仕事をリタイアした中高年を思い浮かべがちですが、じつは若い世代で地方移住や地方在住を希望する人が多いことがわかりました。

次に、調査対象者1万人のうち、農業未経験者の8947人に、今後、農業をやってみたいかと聞いてみると、全体の23.2%が「農業をやってみたい」と答え、とくに10 代は28.5%、Z世代は26.9%と割合が高くなっています 。



さらに、農業未経験者のうち、就職意向がある学生641人に、就職先として農業を選ぶ可能性を尋ねると、28.1%が就農の「可能性がある」と答えました 。


4人に1人が農業を仕事にしてもいいと考えているというのは、かなり割合が高いですよね。

同様に、今後、副業や兼業をする意向があるという2874人に尋ねてみると、42.8%が農業に携わる「可能性がある」と答えています。


副業・兼業となると、さらに就農のハードルは下がるようです。近年、農地を借りて野菜を育てたり、家庭菜園を楽しむ人が増え、作物を育てることが身近になってきているからかもしれませんね。

今回の調査結果について、フリーアナウンサー、エッセイスト、農業ジャーナリストとして活動し、 全国各地の農業の現場を取材・リポートしている"べジアナ"小谷あゆみさんは、次のように話しています。
「とくに若い世代が地方暮らしや農業に注目しているようですね。理由としては大きく二つ。地方暮らしというライフスタイルへの憧れと、ビジネスの視点で見る農業へのチャレンジがあると思います。
経済が停滞している中で育った今の若い世代は、モノを所有することよりも『誰かの役に立つこと』 に価値を見いだす傾向があると感じます。都会の1000人が働くオフィスより、田舎の10人のコミュニティーで過ごす方が、存在意義や自己有用感が感じられるという人も多いのではないでしょうか。
また、『アグリビジネス 』と呼ばれるように、今、農業は経済の視点からも見直されており、就業人口が少ないからこそチャンスも多い状況です。農業経営の第三者継承システムも整備され、地域や行政の支援も厚く、新規参入のハードルはぐっと低くなっているんですよ」

未経験者の農業イメージはポジティブ。いまや3Y 職業に!



調査対象者の中から、農業経験はないが農業に興味があると答えた600人と、 農業従事者200人(農業従事5年未満100人、5年以上100人)に、農業に関する意識や実態について、さらに詳しく聞いてみました 。

まず、 農業経験はないが農業に興味があると答えた600人に、今の日本の農業に対するイメージを尋ねました。すると、89.2%が「農業は地域活性化に役立っている」、83.0%が「日本の農業は日々進歩していると思う」、66.7%が「農業に興味を持つ人が増えていると思う」など、農業に対してポジティブなイメージを持つ人が多くいました。また、94.7%が「農業従事者に感謝している」 と答え、日本の農業従事者が多くの方々に感謝されていることがわかります。

Q.今の日本の農業に対してどう思いますか?(未経験者)



次に、現在農業に5年以上従事している100人に、農業に携わってきた上での実感を聞きました。すると、「やりがいがある」38.0%、「地域に貢献」34.0%、「社会の役に立つ」31.0%、「かっこいい」28.0%、「夢がある」「喜びがある」27.0%など、ポジティブなワードが上位に挙げられました 。

Q.農業についてどのように考えますか?( 5 年以上農業従事者・複数回答)


かつて、農業というと「3K(キツい・汚い・危険)職業」というイメージで捉えられていましたが 、 現在では3Kを実感する人は少なく(「キツい」25.0%、「汚い」12.0%、「危険」11.0%)、「やりがいがあって」「社会のやくに立つ」「ゆめがある」という「3Y職業」と考えている人が多いようです。仕事としての農業の満足度を聞いてみても、67.0%が「仕事のやりがいに満足している」、74.0%が「仕事と生活のバランスに満足している」 と答えました。

「農業は 『やりがい』『役に立つ』『夢がある』と『3Y 』 と捉えられ、かつての 『3K』 のイメージから脱却し、『やりがいのある仕事』と認識されつつあるようですね。私は家庭菜園をライフワークとしていますが、土にまいた種を育て、芽が出る喜びにやりがいを感じます。また、農作業で身体を動かしていると、心身ともに活性化します。見て、聞いて、触れて、味わって、嗅いで、と五感をフル活用する楽しさは、オフィスワークでは感じにくい、農業ならではの魅力です(小谷あゆみさん)」

じつは多い農作業中の事故。リスクを情報として知っておくことが肝心



現在農業に5 年以上従事している100人に、農業に携わる上で心配なことを聞くと、1位の「地震・台風などの自然災害」49.0%に次いで、「農作業中のけが・事故」45.0%が挙げられます。同じ100人に農作業中のヒヤリハット経験(=事故とはならないまでも、ヒヤッとした経験) を尋ねてみると、実に70.0%が「ヒヤリハット経験がある」と答えました。


一方、農業未経験者に農業に携わると仮定して心配に感じることを聞くと、
「異常気象などの天候不良」72.8%、「地震・台風などの自然災害」72.5%、「不作」71.5%、「温暖化など気候変動」66.7%などが上位に挙げられ、農業従事者が懸念する「農作業中のけが・事故」を心配する声は38.5%で10 番目と低く、農業従事者の回答結果とのギャップがみられました。

農林水産省の発表によると、2021年の農作業事故死亡者数は242人でした。近年減少傾向にはあるものの、就業者10万人当たりの事故死亡者数は10.5人で、全産業の平均1.3人と比べ、高くなっています。この現状を知っているかと聞くと、「知っていた」 と答えたのは、農業未経験者で4.0%、農業従事者でも31.5%にとどまりました。

「農業はやりがいがあり可能性の大きな仕事ですが、どんな仕事でもリスクはつきものです。今回の調査からも推察できる通り、天候不良や自然災害、不作などのリスクは想像しやすいですが、農業の現場を知らないと、事故やケガのリスクは想像しにくいですよね。
『ちょっとぐらいなら大丈夫』という見立ては危険のもとで、農作業に携わる際には、常にケガや事故のリスクに当事者意識を持つことが肝心です。農作業の事故やけがのリスクを情報として知っておくだけでずいぶん違います。農業に関心がある方は、農作業中の事故についても、情報収集をしてみてはいかがでしょうか(小谷あゆみさん)」

JA共済では、当事者の視点から農作業の事故を疑似体験できるVR 映像コンテンツ「農作業事故体験 VR」を開発しています。全国のJAでの研修会やイベント、講習会などで、VR 動画を活用した学習プログラムを展開して、農作業事故を「自分ごと化」してもらい、安全対策の重要性を伝えているのです。こうしたプログラムを体験してみるのもいいかもしれませんね。


いつもパソコンに向かってデスクワークをしていると、豊かな自然や新鮮な野菜・果物が恋しくなります。農業従事者のみなさんも「見ただけで野菜の栄養の有無がわかる」「朝が早いし健康になる」「時間に融通が利くので会社勤めよりストレスが少ない」と、農業のメリットを語っています。食は生きる基本です。副業として、あるいは新しいビジネスとして、農業を考えてみるのもいいかもしれませんね。


文=高梨奈々

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