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ネアンデルタール人、ヨーロッパ最古の接着剤をつかっていたことが判明

  • 2024年2月28日
  • Gizmodo Japan

ネアンデルタール人、ヨーロッパ最古の接着剤をつかっていたことが判明
Photo: Schmidt et al., Science Advances 2023

頑丈さもアップ。

4〜12万年前にネアンデルタール人が使っていた道具のうち、天然の接着剤で固めて作られたものがあることが、ニューヨーク大学の研究チームによってわかりました。

ニューヨーク大学のプレスリリースによると、この接着剤は、アスファルトの成分であり天然に産出される炭化水素化合物のビチューメンと黄土によって構成されたものとのこと。

フランスにあるル・ムスティエ遺跡というネアンデルタール人の遺跡の石器から、この接着剤が発見されたそうです。この複合された接着剤は、ヨーロッパにおける最古のものとのことです。

アスファルトと黄土の複合接着剤

Science Advancesに掲載された論文にて研究チームは以下のように述べています。

ネアンデルタール人は切ったり削ったりする道具を使用したことで知られていますが、この道具の持ち手に複合接着剤を利用することで、堅固さや頑丈さが向上するというわけです。

今回発見されたビチューメン(≒アスファルト)は、それそのものが接着剤として利用できますが、液体状のままでは優れた接着剤にはなりません。しかし、黄土を組み合わせることで、変形可能な個体となるのです。

ネアンデルタール人はこれを剥片石器などに使用しました。研究チームは、遺跡から見つかった黄土の痕跡がある3つの剥片石器と再加工された刃、木や骨を削るための削器を調査しました。

ネアンデルタール人の創意工夫

テュービンゲン大学の考古学者であり、筆頭著者でもあるPatrick Schmidt氏は「複合接着剤は、現代にも通ずる"認知プロセス"の最初の表現の1つと考えられます」と述べています。ネアンデルタール人は芸術作品やさまざまな道具によって証明されるように、知的で創意に富んでいたと考えられます。

道具の顕微鏡画像 Image: Drawing by D. Greinert, Staatliche Museen zu Berlin.

このビチューメンと黄土による接着剤は、石にはうまく貼り付きますが手にはくっつきづらいため、道具の柄として加工するのに最適な材料だったといえます。

これらの道具の顕微鏡画像には2種類の摩耗跡が見つかったそうです。1つはほかの材料によって加工されたことを示していて、もう1つは道具を使い続けることで接着剤自体が摩耗したことを示しています。

これらの痕跡から、石器に柄を付けるためではなく、接着剤を柄そのものに加工するために使ったと考えられるというわけです。

ル・ムスティエ遺跡のこれらの道具は1907年に発見され、1960年代から保管されていたとのこと。こうした事情により「付着した有機物質の残骸は非常によく保存されていました」と研究チームは述べています。

ネアンデルタール人に対する理解は、いわゆる「われわれホモ・サピエンスに最も近い親戚のようなもの」との認識では足りないでしょう。ネアンデルタール人のDNAは現代の人類の中にも残っていますしね。彼らは、創意工夫に富み、さまざまな活動を行なっていたこともわかっています。

今回の研究もそんなネアンデルタール人の理解を深めるものの1つになることでしょう。

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