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中国・ファーウェイの研究施設で、同社が近未来に叶える「夢」のカタチを垣間見た!

  • 2023年10月16日
  • GetNavi web

世界企業のなかでも、トップクラスの数の特許を保有するファーウェイ。2022年に公表されたデータによると、同社は収入の25%超を研究開発に投資している。この研究の中心となるのが、世界各地に設置されているラボだ。

 

今回筆者は、同社のラボを訪れる機会を得た。ヘルスケア、オーディオといった、分野ごとに別れた各所のラボでは、新たな製品開発に向けての研究が日々行われている。本稿では、ファーウェイの研究開発の現在地と、未来像についてお届けしよう。

 

あらゆるワークアウトの測定が可能。ファーウェイ最大のヘルスラボ

中国南東部、広東省にある東莞市・松山湖。ファーウェイはこの地に巨大なキャンパスを築いており、ヘルスラボはその郊外にある。同社のヘルスラボは西安およびフィンランドにもあるが、松山湖のものはそのなかでも最大規模。建設は、中国の体育総局、体育科学研究所と連携して行われた。

↑松山湖ヘルスラボの全景

 

↑ヘルスラボの外周には、陸上のトラックがあった

 

施設内には、様々なワークアウトに対応した計測施設がある。高度6000mまでの気圧・温度環境を再現できる高原模擬室、水流を作り出せるプール、球を打ち出してくるロボットが設置された卓球ルームなど、そのバリエーションは多い。ルーム内には、多様な計測装置が設置されており、被験者の動きや身体の状況などをチェックするという。

↑ヘルスラボの入り口を入ったところ。2面のテニスコート、右奥にはバスケットボールのゴールが見える

 

↑壁面のひとつは、クライミングウォールになっていた

 

↑高原模擬室では、低温状態でウェアラブル端末が正常に動作するかのテストが行われていた

 

↑卓球ルーム。写真右のロボットが球を打ち出してくれる。上級モードではかなりのスピードかつハイスピンで球が出てくるため、打ち返すだけでも大変

 

↑プール。水流を作ることができ、異なる水の速さでの水泳のフォームの違いなどを測定しているという

 

↑最大22°の傾斜を作り出せる巨大なトレッドミル。最高時速は50km/hで、ランニング以外にもサイクリングやスケートボードなどのモニタリングが可能

 

↑トレッドミルの周囲には、12台のモーションカメラが取り付けられていた

 

↑ゴルフルーム。中国国内の300コースのマップに対応している

 

↑ゴルフルームでは、スマートウォッチと連携して、スイングのフォームを計測できる。スイング速度や、振り上げてから打つまで、フォロースルーにかけた時間が表示されている

 

ウェアラブルデバイスユーザーからのニーズが高い、ランニングの計測の研究にはとりわけ力を入れている。施設内に並べられたランニングマシンでは、ウェアラブル端末が表示している数値と、実際の数値に齟齬がないかなどのテストが繰り返されている。なかには、ランニングフォームを正確にチェックできるという、7000個ものセンサーを備えたマシンもあった。

↑ズラリと並んだランニングマシン

 

↑ランニングマシン前方の画面では、マシン上にかかっている圧力をリアルタイムで表示する

 

↑HUAWEI S-TAGを靴に装着すれば、より詳細なフォーム計測が可能

 

↑筋力トレーニング用のエリアもあった

 

スマートウォッチで血糖値を測れる時代が来る?

ヘルスラボの取材では、ファーウェイでヘルスケアのソリューション担当者に話を聞くことができた。彼は、ウェアラブル端末の市場と、ファーウェイ製品の現状のギャップについて以下のように語った。

 

「市場のニーズがあるのに、ファーウェイの製品がまだ対応できていないのは、より多くのバイタルデータの計測です。そこで我々は、スマートウォッチに血糖値計を搭載できるよう研究を進めています。これまで、血糖値を測るには少量の血を出す必要がありましたが、それをせずとも血糖値計測ができるシステムをいま開発しています」

 

また、ウェアラブルデバイスにエコー検査ができるセンサーをいずれ搭載したいとの野望も述べた。実際ファーウェイは、血圧を測定できる初のスマートウォッチ・HUAWEI WATCH Dを発売しており、日本での医療機器認証も取得している。ウェアラブルによるエコー検査など、現時点では夢のような技術に思えるが、彼らであればそういった革新を成し遂げてしまうかもしれないと思わされる。

↑HUAWEI WATCH D

 

カナル型イヤホンの耳が痛くなる問題を解決する製品を発売予定

松山湖には、ヘルスラボのほかにオーディオラボも設置されている。そこでは、ロボットアームが完全分離型イヤホンのケースの開閉を繰り返すことによる耐久性テストや、イヤホンの耳への着脱を繰り返して装着時の安定性を確かめるといった試験が行われていた。また、飛行機内の騒音を再現し、アクティブノイズキャンセリングがしっかり機能するか確かめるリスニングルームも公開された。なお同所内では、一切の写真撮影が禁止であったため、画像でお見せすることができないことをご容赦いただきたい。

↑ファーウェイは、ヨーロッパの街を模した巨大なキャンパスを松山湖に設置している。オーディオラボはその一角にあった。写真の建物はオーディオラボではないが、同社のオフィスだ

 

↑広大なキャンパスは12の街区に分けられ、中には電車も走っている

 

ファーウェイでオーディオの製品開発担当者によると、いま開発しているのはカナル型イヤホンの問題を解決する製品だという。その問題とは、装着中に耳が痛くなってしまう、あるいは外れやすいということだ。「この課題を解決した画期的な製品を、2023年の年末に発売する予定」と語っていた。筆者も一人のオーディオユーザーとして、その登場が楽しみだ。

 

↑HUAWEI FreeBuds Pro 2。トリプルマイクによるアクティブノイズキャンセリングを搭載した画期的な製品だった。同社によるまた新たな革新に期待したい

 

また担当者の話のなかで興味を惹かれたのが、高速転送に関する話題だ。ファーウェイのオーディオ製品は、同社独自の規格による高速転送に対応している。その速度は「有線接続にも迫るほど」だという。

 

しかし実際に高速転送を実現するには、再生デバイスとイヤホンの両方がその規格に対応している必要があり、現状ファーウェイの規格に対応したスマートフォンは同社製のもののみだ。そこで同社は、今後この規格を他社向けにも公開するというのだ。仮にこれが実現すれば、他社製のスマホからでもファーウェイ規格による高速転送が可能になる。今後に向けて、夢のある話だといえるだろう。

 

ファーウェイがこれから叶える「夢」が、垣間見えた

今回筆者が見た、ファーウェイのラボを一言でまとめるなら、やはり「夢」という単語になる。血糖値を測れたりエコー検査ができるウェアラブルデバイス、有線に迫る速さの高速転送を可能にするオーディオ。それらは現時点で実現できるものではないが、その可能性は今回の取材で垣間見えた。同社の今後の新製品、施策による、新たな夢の実現を期待したい。

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