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「きもちわるい」水槽に、「おいしい深海魚」水槽!? マニアックな水族館がリニューアル

  • 2024年4月15日
  • コロカル

規格外のユニークさ、マニアも虜にする竹島水族館!

水族館の大きさが1000平米ほどの小さい規模でありながら、地元の人はもとより、マニアも虜にする愛知県蒲郡市にある〈竹島水族館〉、通称「タケスイ」。

地元の三河湾で捕れた魚が展示されていたり、詳細な魚の解説が手書きだったり、水族館なのにカピパラのショーが上演されたり(※)と、スタッフのアイデアと愛による、魅力あふれた水族館なのです。※現在は、飼育展示を休止。新エリアでのクラウドファンディングを実施中。

そんなユニークな竹島水族館が、2024年4月1日にリニューアルオープン。テーマも「More Deep」とし、深海生物のスペースが拡大されました。

県内での深海魚水揚げ1位の地域密着型水族館

現在、およそ550種類、約5000匹の生き物が生息している竹島水族館には、常時、約90種類、多い時には約140種類もの深海生物が飼育されています。これは全国NO.1を誇る数だとか(竹島水族館調べ)。 

その理由は、自然豊かな蒲郡市が、深海生物の愛知県での水揚げ量が90%を占める「深海のまち」だからです。県内の「沖合底引き網漁船」4隻のすべてが、市内の漁港にあります。この立地を生かした竹島水族館では、魚を鑑賞するだけでなく、展示している地元で捕れたた魚を調理して食べる「タケスイをいただきます!」というおもしろいYouTube企画も行っています。

スーパーで売っている地魚を、水族館が飼育していることもユニークですが、珍しい生物の生態を知るだけでなく、生活と密接に関わっている魚を観察できるところが大きな特徴だといえます。

魚屋さんに並ぶ魚が泳ぐ水槽の名前もユニーク

今回のリニューアルでは、人気の深海生物を細かく分類、水槽の数も増えました。イソギンチャクやテヅルモズルなどの「キモキレイ」水槽や、カニがうじゃうじゃと動いている「きもちわるい」水槽など、独特なネーミングに、思わず笑ってしまいます。また、各水槽での温度調節が可能になったことから、低い温度帯に生息するキンメダイやアマダイといった、通常魚屋さんに並んでいる魚たちも「おいしい深海魚」の水槽で泳いでいる姿を観察できます。

透明の水槽で全方向から見ることができるサンゴ水槽。

透明の水槽で全方向から見ることができるサンゴ水槽。

「きもかわ」ブームで年間40万人を超える来場者に!

タカアシガニ、イガグリガニやナヌカザメに加え、新たに加わったノコギリザメ、フトツノザメといった大きなものから、きもかわで人気を集めた顔面がユニークなオオグソクムシなど、多彩な顔ぶれがそろっています。深海生物は、低温での水温管理が必要なため、飼育管理が難しいのですが、竹島水族館では、日本で初めてオオグソクムシの孵化にも成功。

こういった職員の努力もあり、小さなローカル水族館でありながら、年間約40万人もの観光客が訪れる人気水族館となっているのです。

足の長さも巨大なタカアシガニ。

足の長さも巨大なタカアシガニ。

展示生物は常に変化し、飼育員の仕事も多岐にわたる

竹島水族館は、民間運営のため、入場者数の増減は、経営にも大きく影響します。そのため、人気の出た魚は、小さな水槽から大きな水槽へと出世することもあり、逆に反響の少ない魚は、展示からバックヤードに降格し、展示方法を変えて、再デビューするのだとか。展示スペースが限られている竹島水族館では、魚が来場者に愛されるよう、常にスタッフが努力を続けているのです。

一時期、入場者数が激減し、運営がピンチになったことがありました。このピンチを救ったのも職員のアイディアによる「さわりんぷーる」です。眺めるだけでなく、実際に珍しい深海魚に直接触れ、体感できる楽しさが、竹島水族館の魅力になっています。

タッチングができるさわりんぷーる。

タッチングができるさわりんぷーる。

わかりやすさが評判の手書きプレートを欠かさない

竹島水族館の魅力は、魚だけにとどまりません。お父さん、お母さんが、子どもたちを抱っこしなくても見られるよう、水槽を低めに設置するなどの工夫もしています。

また、館内の展示や生き物の解説プレートは、ほとんど担当飼育員が手作りで作成。珍しい生き物には、「珍」マークをつけるなど、パっと見てわかるようにしています。

50匹以上いる「うつぼ」の展示もおもしろい。

50匹以上いる「うつぼ」の展示もおもしろい。

解説もイラストを使ってわかりやすく表示。なかでも話題になっているのが「魚歴書」。職員が魚になりきって書いています。図鑑に書いてあることはなるべく書かないというルールもあり、生き物を身近に感じてもらえるよう、飼育員が日々お世話するなかでわかったクセや特徴を書いているそうです。

じっくり読んでしまうため、「日本一解説が読まれている水族館」とよばれおり、なんと本まで出版されています。

『へんなおさかな 竹島水族館の「魚履歴書」』 竹島水族館長 小林龍二 監修•竹島水族館スタッフ編(あさ出版)

『へんなおさかな 竹島水族館の「魚履歴書」』 竹島水族館長 小林龍二 監修•竹島水族館スタッフ編(あさ出版)

笑えるネーミングも職員が考えたお土産、イベントも充実!

竹島水族館ではお土産もユニーク。人気の深海生物「オオグソクムシ」の原料を一部に使用した「超グソクムシ煎餅」。見た目も、そのものをかたどったインパクトのある煎餅がなんと、累計3万箱も売れているのだとか。

また、竹島水族館では、毎年秋に「がまごおり深海魚まつり」を広場を使って自治体とともに開催しています。5回目となる今年は、竹島水族館の秋に控えた新館オープンと重なるため、今まで以上に盛り上がることでしょう。

常に変化しつづける竹島水族館の魅力や職員奮闘の様子は、YouTubeやブログでも楽しめます。蒲郡市、竹島の魅力を水族館から発信し続ける竹島水族館に今後も注目です!

information

竹島水族館

住所:愛知県蒲郡市竹島町1-6

TEL:0533-68-2059

開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)

休館日:無休(ただし、設備点検日として年に2日は休み)

入館料:市内:大人500円・小、中学生200円・小学生未満は無料

市外:大人900円、4歳以上〜中学生500円、3歳以下は無料

竹島園地駐車場:約200台(平日無料)

※土日祝と4月27日〜5月8日は有料・4、5月は500円、それ以外は300円

Web:竹島水族館

Instagram:蒲郡市竹島水族館 公式Instagram

YouTube:竹島水族館 公式チャンネル

writer profile

Naomi Kuroda

黒田 直美

くろだ・なおみ●愛知県生まれ。東京で長年、編集ライターの仕事をしていたが、親の介護を機に愛知県へUターン。現在は東海圏を中心とした伝統工芸や食文化など、地方ならではの取り組みを取材している。食べること、つくることが好きで、現在は陶芸にもはまっている。

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