サイト内
ウェブ

サフラン酒に一生モノの器…コロカル編集部の自腹買い&ベストバイ

  • 2023年12月28日
  • コロカル

ローカルのいいモノをたくさん知っているコロカル編集部のメンバーに、今年1年で出合った、心から買ってよかったものを聞きました。個性豊かなラインナップと、熱のこもったエピソードをご覧ください。

●飲食部門

辛党のメンバーからはちょっと変わった日本のローカルなお酒を。SNSで話題となった調味料や、思わずパケ買いしたくなる食品も集まりました。

〈新潟銘醸〉の「機那サフラン酒」【新潟県小千谷市】

300ml/935円(税込)、720ml/1980円(税込)

 

新潟県越後湯沢での仕事を終えて編集部のプチ打ち上げで立ち寄ったのが、編集部・海老原さんおすすめの〈たつのや商店〉でした。

越後湯沢駅から徒歩5分の場所にあり、店先に置かれた「ちょこっと飲める酒屋100円から」の看板が目印です。そう、ここは希少な生酒や果実酒、県外や酒屋には出回らない銘柄などが一杯100円で飲むことができる、有料試飲・酒販店兼土産物屋。

日本酒の販売はもちろんですが、酒器や新潟県産のおつまみなども店主の目利きが光るラインナップです。

そこで目に止まったのが、〈新潟銘醸〉の「機那(きな)サフラン酒」。サフランをはじめ、桂皮(けいひ)や丁子(チョウジ)などをブレンドした薬用酒で、ひと口飲んですっかり気に入ってしまい、お土産用も含めてその場で数本購入してしまいました。

味は想像にお任せしますが、そのまま飲んでも良し、レモンを加えて水やソーダで割っても良し、リキュールとして使っても良しと、ずっと飲んでいられる癖になる味わいです。

あとになって調べると、その歴史は古く明治時代にお酒に代わるものとして販売され、女性ウケを狙ったハイカラな嗜好品として大ブレイクしたそうです。

当時、長岡の醸造屋・摂田屋の吉澤仁太郎氏が発明し現在は、小千谷市の〈新潟醸造〉が製造を引継ぎ販売しています。

深掘りすると、かなりストーリーがあるようなのでいつか取材してみたいトピックです!

編集・卓立

〈VinVie(ヴァンヴィ)〉の「シードル」/〈kimori(キモリ)〉の「シードル」【長野県下伊那郡松川町/青森県弘前市】

左の3本が〈VinVie(ヴァンヴィ)〉、右の2本が〈kimori(キモリ)〉 

左の3本が〈VinVie(ヴァンヴィ)〉、右の2本が〈kimori(キモリ)〉。 

〈VinVie(ヴァンヴィ)〉

 

最近では、マイクロブルワリーやクラフトジンなども人気ですが、私は国産シードルがイチオシです。定期的に買ったり、お世話になった方に贈ったり、お店にあれば「とりあえず、シードル」にしています。

なかでも、2014年の立ち上げ当初からファンなのは、青森県弘前市のシードル〈kimori〉。創業者であり、りんごの語り部である高橋哲史さんのファンと言っても過言ではないかもしれません。

しかし、先日ご縁があってうかがった南信州で、ワイン・シードル醸造所〈VinVie〉に出合ってしまいました。

工房でお話を伺いながら試飲させていただきましたが、ひと口でファンに。お気に入りはドライタイプで、すっきり飲みやすく、食中酒にもピッタリです。

南信州の中心である長野県飯田市は、「焼肉のまち」なのだそうですが、お肉にも合うシャープさ。焼肉とシードルのマリアージュもアリなのではと。

青森も長野もりんごの産地ですが、各地で盛り上がっている「国産シードル」がもっと気軽に楽しめるようになるとよいなと思って、2023年私のベストバイとします。

編集長・山尾

〈魚商 小田原六左衛門〉の「おだわら城前鯖 さばのオイル漬」【神奈川県小田原市】

さばのオイル漬・山椒。

さばのオイル漬・山椒。

ギフト包装(瓶1本用)。左奥は1番人気の「王様塩辛」。

ギフト包装(瓶1本用)。漢字の「六」モチーフのロゴも素敵。左奥は1番人気の「王様塩辛」。

 

2020年に小田原駅にできた〈minaka ミナカ小田原〉の一角に店舗がある〈魚商 小田原六左衛門〉。

創業430余年の魚の卸会社が始めた直売ブランドのお店で、おいしい魚をつかった加工商品が数々並びます。海なし県で生まれ育った身としては行くたびにテンションあがり気味、パッケージデザインにも力を入れていて、商品のならびを眺めるだけでも楽しいです。

さまざまな商品が並ぶなかで、朝ごはんのお供として&お酒のつまみとしてよく選んでいるのが「さばのオイル漬」。小田原産のさばを使っていて、山椒・ねぎ味噌・ガーリック・生姜、4つの味が楽しめます。

自宅用としてはもちろんですが、ブランドロゴやラベルデザイン、小瓶1本ずつのギフトパッケージも可愛らしく、ちょこっとの手土産としても重宝させてもらっています。

デザイナー/エンジニア・絹川

〈阿部幸製菓〉の「柿の種のオイル漬け にんにくラー油」【新潟県新潟市】

「柿の種のオイル漬け にんにくラー油」

チャーハン

 

越後湯沢駅構内の〈CoCoLo湯沢〉で発見し、POPでも激推ししていたので、試してみたらどハマりしました。ご覧の通り底見え調味料です。オイルに柿の種がとっぷりと浸かっているのに、なぜか柿の種のカリカリが保たれたまま。だから、食感がとてつもなくいいのです!

卵かけご飯、和え麺などへのちょい足しもいいのですが、ぜひ試していただきたいのは「柿の種納豆チャーハン」。にんにくのガッツリ感もプラスされて、米の量が少なくても満足感があるので実質ダイエット飯です! 柿の種との食感の違いを楽しめる大粒の納豆がおすすめです。

編集・海老原

●工芸品・雑貨部門

買ったその日から始まる“私とモノ”のストーリー。ネオ工芸品から日用品まで、ローカルの目利きが選んだ雑貨とは。

高桑英隆〈お花畠窯〉の白磁【富山県富山市】

〈お花畠窯〉の白磁

〈お花畠窯〉の白磁

 

富山県のポータルサイト『doors TOYAMA』の取材で訪れた、総曲輪にある〈林ショップ〉という民芸店。そこで出合ったのが、富山の陶芸作家・高桑英隆さんがつくる〈お花畠窯〉の白磁。

普段から食器を選ぶときは、つい白い器ばかり手にとってしまうのですが、最近はこの高桑さんの小皿がお気に入り。

富山で40年以上、作陶に励んでいる窯元〈お花畠窯〉は、もともと工房のある呉羽丘陵の地が、“お花畠(おはなばたけ)”と呼ばれていたことから、名づけられたのだそう。

その名前を聞いたとき、なんだか響きがかわいらしくて、印象に残っていたのですが、高桑さんの白磁を実際に手に取ってみるとわかるのが、釉薬のとろりとした質感と、ほどよく厚い造形が生み出す、やわらかなこの存在感。毎日の食卓を支える白い器にふさわしく、どんな料理も映えるひと皿です。

〈豊泉堂〉の鳩笛【大分県別府市】

鳩笛

鳩笛裏

 

別府をはじめ大分県にゆかりのある職人やアーティストのプロダクトが揃う、別府市の〈SELECT BEPPU〉を訪れたときに思わず買ってしまった豊泉堂の「鳩笛」。『edit Oita』のこちらの記事でも紹介していますが、宮脇弘至さんによってひとつひとつ丁寧につくられている土人形です。

私はこの記事の取材には行っていないのですが、実物を見てそのフォルムと素朴なかわいらしさにひと目惚れ。しかもこのとき、たまたま宮脇さんが納品のためにお店を訪れていて、この鳩笛や福獅子などの土人形たちが店頭に並んだばかり。宮脇さんは、全工程をひとりでつくっているので量産できず、SELECT BEPPUに入荷してもあっという間に売り切れてしまうという人気商品なので、なんとラッキー! 

リビングに飾っていますが、ちょこんとそこにいるだけで和ませてくれます。ちなみにこの鳩笛は尻尾に吹き口があり、吹くと「ホーホー」とあたたかみのある音が出ます。

編集・イチコ

坂出市オリジナルタンブラー【香川県坂出市】

坂出市オリジナルタンブラー

坂出市オリジナルタンブラー

 

知人の画家、山口一郎さん(@ichiro8308)が在住の香川県坂出市と「共創」した市オリジナルグッズ。山口さんはファンも多く、国内外の展示やライブペインティングなどの活動で知られており、坂出市がゼロカーボンシティを目指す取り組みをその魅力ある絵で支えています。

私が気に入ったのは、坂出市の市章をモチーフにカモメが描かれ、木製の蓋が乗っかっている市オリジナルタンブラー。蓋がきっちり締まるわけではないのか……と一見不思議に思いましたが寒くなってきた昨今、家でだらだらお茶を飲むのにかなり適していることに気づきました!(ずっと冷めないのってこんなに快適だったんですね……)何度も温めなおす手間やエネルギーを節約でき、アースカラーで暮らしに馴染むところもポイントです。

オリジナルグッズはほかにテントウムシが描かれたステンレスボトルもあり、山口さんの絵の魅力がストレートに伝わります。これらは坂出駅の観光協会のみで販売とのこと。

市民が実際毎日使ってみたくなるような素敵な地域オリジナルグッズが各地に増えるといいな!

スタッフ・中西

小久慈焼の器【岩手県久慈市】

器

新居への引っ越しを機に、量販タイプではなく、陶芸工房や作家さんの器をちょっとずつ集めたいなと思うようになりました。

〈小久慈焼〉は、岩手県・久慈駅から約2キロの坂の上にある陶芸工房。約200年の歴史があり、地元の粘土と釉薬を使った日用の器づくりをされています。工房のある敷地内に直売所があり、そちらで器を数点購入しました。

ベーシックなデザインや色合いなのでどんな食卓にも溶け込み、やさしいシルエットが手になじみます。しかも、食洗機もOK(むしろ推奨)なのだそうで、現代の生活スタイルにも合うのがうれしい。子どもの食事デビュー用に買った小さなごはん茶碗は、成長したら小鉢などで使おうかなと思っています。

編集・栗本

〈鈴木主善堂〉の鉄瓶【岩手県盛岡市】

〈鈴木主善堂〉の鉄瓶

〈鈴木主善堂〉の鉄瓶アップ

 

盛岡市で400年以上の歴史をもつ〈鈴木主善堂〉。東京・合羽橋の〈釜浅商店〉でそこの鉄瓶を見たときに、あまりにも渋くてかっこいい佇まいに釘付けになりました。

真っ黒ではない、少し錆びたような茶色と黒の絶妙な風合いが、渋いです。聞くと仕上げに茶汁を塗って独特な色を出しているそう。

注ぎ口はシャープで使いやすく、蓋のつまみは閉じた蓮の形になっているのも、気に入ってます。そして南部鉄器特有の製造方法(かなけどめ)によって内側に鉄臭さが出ず、お湯がまろやかに感じるのもうれしいポイント。

小さすぎず大きすぎないサイズ感は、コーヒーを2杯分注ぐのにちょうどよく、シンプルかつ深みのあるデザインは、日常にもなじみます。お気に入りの鉄瓶で注ぐ、毎日のお茶の時間が以前よりも楽しいものとなりました。

フォトグラファー・黒川

萩焼作家・金子司の「キノコオブジェ」【山口県萩市】

ガチャ

きのこオブジェ

 

モダンなアプローチで創作活動する萩焼作家のひとり、金子司(@kusabira696)さん。私自身15年前からデイリー使いのお皿や酒器などを幾度か購入しています。

一度アトリエにお邪魔してみたいとインスタグラムでやりとりさせていただいていたところ、タイミングよく今年の冬にその機会が訪れたのでした。

アトリエは、金子氏のインスタグラムでも拝見できるキノコモチーフの作品が無数に展示されており、キノコに取り憑かれたアーティストのミュージアムと化していたのでした。

ここに紹介したキノコオブジェは「金子司のガチャ」として東京や地方都市において、常設や期間限定で設置されているもの。

カプセルから陶芸家の作品が出てくるという、とても意外性のあるガチャなのです。金子司さんのインスタグラムをチェックしてこの世界観が気になった方は、このユーモラスなガチャを試してみてはいかがでしょう。

アドプランナー・山田

●書籍部門

ウェブマガジンであっても、紙面から得られる情報は大切にしたい。コロカルスタッフの知の蓄えとなるような、旅を語り、ローカルを語る本や雑誌をご紹介。

書籍『旅をあきらめるにはまだ早い友への手紙』(著:原田マハ)【新潟県新潟市】

中身

表紙

 

「ライターズ・イン・レジデンス」=作家がひとつの場所に滞在し、その地が舞台の物語を書くというプロジェクトにて、作家・原田マハ氏が執筆した、書籍『旅をあきらめるにはまだ早い友への手紙』。舞台は、新潟市の南西部にある〈カーブドッチ〉。日本海に近く、広大なぶどう畑に囲まれたワイナリー、温浴・宿泊が併設されたこの施設での“旅行”がテーマです。

私もよく利用するこの施設は、日帰り温浴としても一日中滞在でき、ゆったりと時間を過ごしたい大人の秘密基地のよう。そんな場所で出合った一冊です。(〈カーブドッチ〉にて販売中)〈カーブドッチ〉には、ブックディレクター・幅允孝氏のセレクトによる4000冊もの本棚も。一年を通してなかなか晴れない新潟ですが、天気を気にすることなく、ともに旅を楽しめる友人と、〈カーブドッチ〉のワインがあれば十分だ! と思わせてくれる作品です。

編集・金澤

『南洋のソングライン ーー幻の屋久島古謡を追って』(著:大石始)【鹿児島県屋久島町】 『ReConstruction Jiro Kimura and Gallery Trax』(torch press刊)【山梨県北杜市】

『南洋のソングライン ーー幻の屋久島古謡を追って』

『ReConstruction Jiro Kimura and Gallery Trax』

 

ローカル発信の雑誌に興味があり、そのひとつに、屋久島〈kilty BOOKS〉の『SAUNTER Magazine』があります。そして同出版社から発行されたのが『南洋のソングライン ーー幻の屋久島古謡を追って』(著・大石始)。「まつばんだ」というある伝統的な曲をめぐる文化的・音楽的論考でありつつも、旅のエッセイのようでもあります。

もう1冊。『ReConstruction Jiro Kimura and Gallery Trax』(torch press刊)という作品集。舞台は山梨県北杜市の〈Gallery Trax〉です。何度か展示を観に行ったり、取材現場として伺ったり、ファッション撮影のロケ現場として使わせていただいたことまである、とても好きなギャラリーです。作品集は坂口恭平さんが寄稿し、峯崎ノリテルさんが装幀のデザインをしています。木村二郎さんの家具を拝見するだけではなく、あちこち気になる本です。

いってみれば、どちらも単なる「歌」と「ギャラリー」。そこから”ローカルゆえの某”なんてものを感じたいわけではなく、ごく単純に自分たちがやりたいことを、自分たちの土地でやっている。そんな態度のローカルカルチャーに惹かれます。

副編集長・大草

text & photo

コロカル編集部

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright © Magazine House, Ltd. All Rights Reserved.