小松貴さんが続けて2冊本を出した。「絶滅危惧の地味な虫たち」(ちくま新書)と「昆虫学者はやめられない」 裏山の奇人、徘徊の記(新潮社)だ
絶滅危惧の地味な虫たちに登場する昆虫は、ほとんど見たことのないものばかり。人目につかずにひっそりと生きている昆虫たちのなかで、絶滅が危惧されている昆虫(特に甲虫)を実際に探して写真を撮る話だ。
そういった昆虫は、レッドデータブックでも、種名だけしか載っていなかったりするものが多い。標本でしか見られなかったり(一般の図鑑にはまず載っていないものばかりだ)生きている姿となると、想像するだけしかないのである。
小松さんは図鑑に、大型昆虫(特に、チョウ、甲虫、トンボ)ばかり載っていて、そうした地味な虫が載っていないことに、幼い頃から憤懣していたそうだ。
本に載っていないのは、実は写真がほとんど撮られていなかったことが大きく影響している。何しろ、昆虫写真一筋に生きてきたぼくも、ほとんど撮っていないものばかりだから。
小松さんのように、そういった地味な虫に心底惚れて、その写真を記録したいという人がいなければ、そもそも一般の人には知られること無く、いなくなってしまう虫も多いだろう。
そうした昆虫はまず探すのが大変だ。探しても写真が撮れなければ仕方がない。小さな虫の撮影には、いくらデジタルカメラが進化しても、それなりの方法がある。小松さんは探す能力がすごく、撮影能力もマスターしている。おまけに、そういった虫に愛を感じている奇人なのである。
「昆虫学者はやめられない」は小松さんが時間があれば通う、裏山での話だ。裏山というのはどこにでもあって、大きな裏山もあるし、ほんの小さな場所だって、本人にとっては素晴らしい場所が裏山である。虫のいる自然がある場所が裏山なのだから、何度通っても、そこには新しい発見があるという。ぼく自身もそう思うが、歳をとると、まず目が悪くなり、大きなチョウは見えても、小さな虫が見えなくなってきた。これでは小松さんには怒られそうだが、大きな虫を撮影するしか無い。読者の方は目の良いうちに、身近な裏山を作って欲しい。裏山も環境は人為的にも。気候的にも常に変化しているという。だから今、見なければ。
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