アフリカには ニレウスルリアゲハ ( Papilio nireus)群のアゲハが何種かいる。非常に近縁で、
ソシアルリアゲハ Papilio sosiaとニレウスルリアゲハなどは、青帯が細いか太いかぐらいの違いしかない。nireus種群はいずれも青く輝く美しいチョウである。
このグループの鱗粉について、なんでも最新LEDと同じような構造をしているというような話をネットで見たので、調べて見たらこのチョウ鱗粉についていくつもの論文があった。
Variable multilayer reflection together with long-pass filtering pigment determines the wing coloration of
papilionid butterflies of the nireus group
Bio-inspired Plasmonic Nanoarchitectured Hybrid System Towards Enhanced Far Red-to-Near Infrared Solar Photocatalysis
Bi-functional photonic structure in the Papilio nireus
ほんのちょっとだけ拾い読みをしてみた、ぼくの英語力では難しいし、そもそも学術用語を知らないので・・・。
ニレウスルリアゲハ群の鮮やかな青帯は鱗粉が多層膜構造で、表面の膜の下の薄層が青色の反射板として機能しているという。表面の膜には色素があり、その色素がロングパスフィルターとして作用する格子を形成しているのだそうだ(フォトニック結晶)。鱗粉の構造が構造色でできる幻の色に色素が絡んで作られた色のようだ(ほとんどがそうなのかもしれない)。格子構造の部分で入ってきた光が全方向に反射されるらしい(拡散反射板)。この構造が最新LEDのものと同じらしい。
しかも、近紫外から近赤外までの光を効率よく集められるらしい。この構造を使って、太陽光の電気変換効率を飛躍的に高めることが可能になるかもしれないという。関係ないかもしれないが、論文に貼付された鱗粉の表面の反射スペクトルは340nm(紫外)、500nm(青緑)にピークがあり近赤外域でも急上昇していた。いろんな可能性のある構造のようだ。近赤外はチョウの体温調節に役立つかもしれないというようなことも記されていた。
この鱗粉の写真を深度合成で撮って見た。面白かったのはカメラのWBをオートにすると上の写真のように写り、太陽光にすると、下の写真のように青色がでることだ(5200KのLED使用)。今まで撮った鱗粉でこれほどまでにカラーバランスが異なることはなかったと思う。鱗粉の構造に関係があるかもしれない。
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