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海野和男のデジタル昆虫記

モンシロチョウの見ている世界(紫外色?)

モンシロチョウの見ている世界(紫外色?)
2012年03月28日

 モンシロチョウが見る紫外線の反射吸収の色について、ちょっとまとめておくことにする。
 モンシロチョウは赤い色が見えずに,代わりに紫外線の反射吸収を色として感じていることがおおよそわかっている。
この研究は,恩師の日高敏隆さんたちによって,ぼくの学生時代に明らかにされている。オスの翅は紫外線を吸収し、メスの翅は反射している。紫外線のみ通すフイルターをかけてモノクロフイルムで撮影すると,オスの方が黒っぽく写りそのことが良くわかる。
 では実際モンシロチョウが相手をどんな色彩で見ているかは難しい。何しろ我々には紫外線が見えないのだ。
 左上の写真はモンシロチョウの交尾をカラーで撮ったものだ。上がオスである。
 右上の写真は紫外線のみ透過するフイルターをつけてカラーで撮影したものをチャンネル分解して,紫外線に近いブルーのチャンネルのみをモノクロ化したもので、おおよそモノクロフイルムで紫外線のみ通すフイルターをかけたものに極めて近い。
 けれどモンシロチョウは赤以外の色は見えるのだから、紫外線のみ透過するフイルターをつけて得られた画像の赤チャンネルを除いてカラー合成して見ると左下の写真のようになる。メスが逆に白っぽく写る。これはモンシロチョウのオスの羽の裏が緑の光線を良く反射しているからだ。
 右下の写真はオスが黄色っぽく写っている。これは黄色いモンシロチョウという本(日高さんの弟子の小原さんが書いた本)の方法で合成したものだ。実はその本の写真もぼくが担当していた。これは色を置き換える方法だ。緑、青、紫外のみ透過の3枚の写真をモノクロで撮影し、緑のフイルターをかけた画像を赤に、青のフイルターをかけたものを緑に,紫外線透過フィルターをかけた画像を青に割り振って再合成してカラー化したものだ。それに近い方法でノーマルカラー写真の赤を破棄し、緑を赤に,青を緑に割り振り、紫外線透過モノクロ写真を青に割り振ったものだ。ほぼ期待通りの写真となったが、実際モンシロチョウが見ている世界はどんな世界かはわからないのである。ただオスとメスが我々が見るよりはかれらはちゃんと区別できることだけはどのような方法でもわかるのである。
 なお、本などのモンシロチョウの紫外写真で間違って,オスの翅が紫外線を反射しているから色が違って見えるとの記述が時々あるが、これは間違えである。
動画ページにスジグロマダラシロチョウ(アカネマダラシロチョウ)の高速度映像を追加

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