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海野和男のデジタル昆虫記

構造色を撮る

構造色を撮る
2007年12月20日


 コウトウキシタアゲハやブルキシタアゲハは後翅に当たる光の角度によって黄色の翅が
ペンタコンsix用レンズをD3で使う真珠色に輝く。この輝きは野外で見ればそれは美しいものである。
 昔、東ドイツにペンタコンsixというカメラがあった。レンズはツアイスイエナ。ドイツが東西に分離されたときに、ツアイスは東ドイツにあった。だからレンズは西ドイツのツアイスよりも元祖ツアイスともいえる。
 アトリエには50mmフレクトゴン、80mmビオメター、180mmゾナー、300mmレンズがある。そのレンズを最新のニコンD3につけて撮影したいと思った。そこでペンタコンsix用レンズをニコンマウントにするアダプターを購入した。そのアダプターはあおりも効くようになっている面白いものだ。D3にフレクトゴン50mmF4.5を付けた写真は一番下。中々かっこうよいと思う。
 ブルキシタアゲハの構造色を撮ろうとすれば、あおりは極めて有用だ。斜めから写さないと、この幻の色は写らない。だからあおらってピントを稼ぎたい。
 80mmビオメターF2.8をD3につけ、接写リングも付けて撮影した。ところが、真ん中だけハレーションのようにぼーっとしてしまう。最初はハレーションかと思ったが、どう光を切っても出るから、これはハレーションではない。あおるからかなと思ったけれど、あおらなくてもそのハレーションのようなものはでる。内面反射かなとも思ったが、フイルムで感じたことがない。そして絞るとさらにひどくなる。80mmビオメターはフイルムでは極めて定評のあるレンズだ。けれどやはりデジタルには全く向いていないようだ。何しろ50年近く前のレンズだ。
 フイルム時代もレンズそのものの解像度は小型カメラのものほどよかったと言われている。フイルムの場合はフォーマットが大きくなれば、それだけ粒状が良くなることになり、レンズの性能が悪くてもあまりあるメリットがあった。
 デジタルになって、その辺りの事情は変わる。フォーマットが小さくても画素数が同じならできあがりの写真はそれほど変わらなくなったのだ。けれど撮像素子の一つ一つの面積は画素数が同じとすれば、FXフォーマットとフォーサーズでは4倍ぐらい異なる。つまり画素数が同じならフォーマットが大きい方が光が多くはいる。このことが画質、特にノイズの面で有利である。またフイルムの場合光が斜めに当たってもそれほどは画質に影響はなかったのだが、デジタルではこれが周辺光量の低下や、画質に大きく影響する。そこでテレセントリックな光がまっすぐ撮像素子に入るレンズが必要となる。こうしたレンズはまじめに作れば大きくなる。
 例えば最初からデジタル設計のオリンパスのデジタル一眼のレンズは、光がまっすぐに撮像素子に届くことに力点を置いて作ったらしい。だからフォーマットが小さいのにずいぶんレンズが大きくなった。ニコンも今回D3の発売に合わせて作られた高級レンズはずいぶん大きい。フォーマットが大きくなると、さらにまっすぐ光を撮像素子に導くのは難しそうだ。その辺りは新しいレンズは問題がないが古いレンズの場合は問題が出てくるものも多いのだということを実感した。D3のような高級デジタル一眼は専用レンズで最高の性能を発揮できるように設計されているのだろう。やはりデジタルに適した新設計のレンズがよさそうだ。ただ目に見えるような画質低下は困るけれど、古いレンズでもそこそこのレンズというのもあるから、ニコンからも小型である程度の性能のデジタル専用設計のレンズがもっとでるといいなと思う。
 せっかく買ったアダプターだから、諦めきれず、ビオメターをD300に付けてみたら、ハレーションのような部分はだいぶ改善された。どうやらこのアダプターはD300用に使った方がよさそうだ。とはいうもののハッセルニコンアダプターなどというものも最近は安価なものがあるから、使ってみたいなどと思ってしまう。こうしたものは使ってみないとわからない。
 30代から40代前半は、欲しいと思ったらいてもたってもいられず、お金もないのにずいぶんいろなものを買った。カメラボディーやレンズはけちっていたのに、サードパーティー製の用品はずいぶん購入した。実は購入したほとんどのものは実は役に立たなかったのだが、そうした経験も必要かもしれない。今はアダプターぐらいならあまり気にせずに買えるのに、なかなか購入しない。日本に物がありすぎるのか、歳をとったせいか、どうしても欲しいという物が少なくなっているのを反省。

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