サイト内
ウェブ

海野和男のデジタル昆虫記

ゴマシジミを探しに

ゴマシジミを探しに
2006年08月19日

 ツマグロオオヨコバイの羽化が撮れなかったので、ちょっとお休み。ゴマシジミを探しに行くことにした。上田、長野、須坂、山ノ内町などを回った。地元周辺の昆虫は自分で探したい。頼りは25年ほど前のチョウの本という頼りなさ。何しろゴマシジミはこの20年ほどで激減したチョウだし、発生地も転々とするのだ。
 とりあえず須坂を目指す。上田周辺は先日探して見つからなかったのでパスして長野市へ。よい草原があって、ワレモコウがあったけれどゴマシジミはいなかった。須坂周辺の昔いたという所へいった。環境は良さそうな場所があるが、ワレモコウがどういう訳か全くない。
 現在でもいることが知られている山ノ内町へも行った。地図で見ていきたかった場所は、林道に鎖が張られていた。その手前の田んぼの土手にワレモコウがたくさんあったが、見つけることはできなかった。スキー場やゴルフ場を回ったけれどワレモコウのある場所が少なく、あっても立ち入り禁止だったりして、結局はキアゲハの写真しか撮れなかった。いつになったら写真が撮れることやら?考えてみれば長野県では最後にゴマシジミの写真を撮ってからもう30年以上たつ。
 ゴマシジミの発生には草刈りや林業が大きく影響していると思う。ぼくが大学生の頃は山梨などいくらでもゴマシジミがいた。数年大発生し、その後近くのまた別の草原で大発生することを繰り返していた。斜面全体が伐採され、植林されないで放置されると、数年でゴマシジミが発生する。当時は近くでいつも新しい伐採地があったのだ。もっとも、自然状態で草原を保つ湿性草原などでは安定した発生をするチョウだと思う。今は木を切らない。特に30年ほど前に植えた杉などが暗い山を作ってしまったのが問題だ。
 またワレモコウは多年草だ。丈夫だが田んぼの畦などでは草刈りをしないとほかの植物に埋もれてしまう。草刈りをしすぎればなくなってしまう。小諸周辺の田んぼからオオルリシジミが消えたのも草刈りが原因だ。オオルリシジミの場合は6月の草刈りというのが最も問題だ。クララに幼虫が育つ時期だからだ。そして、花が咲く夏を前に草刈りをすればやがてクララそのものがなくなっていく。ワレモコウの場合も同様なことがいえるだろう。ということは、オオルリシジミの再生で隣の東御市が成功したように、今でもゴマシジミがいる地域では、その気になれば案外産地の復元は容易なのかもしれないと思った。
E-500 8mm+EC14


◎「デジタルカメラで撮る海野和男昆虫写真」が発売になりました。写真はすべてデータ付きで、写真撮影に使用したレンズは20本以上。一眼レフデジカメは14機種、コンパクトデジカメフが5機種。定価は2600円(税別)。版元のSBCrアマゾンのサイト、書店などでお買い求めいただければ幸いです。

前日
翌日

お知らせ

NEW

単行本

連載

◎過去の小諸日記

海野和男写真事務所へのご連絡、小諸日記へのご意見

プロフィールページのアドレスへ

掲載情報の著作権は海野和男写真事務所に帰属します。
Copyright(C) 2024 UNNO PHOTO OFFICE All Rights Reserved.

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。