ヤツデの葉の上ではキンバエの仲間が日向ぼっこをしながら手をこすりあわせたり、足をこすりあわせたりしている。ハエが手足をこすりあわせるのは感覚器官がある手足を綺麗に保つためだ。
「やれ打つなハエが手を摺る足を摺る」と詠んだのは小林一茶である。小林一茶のころはどれくらいの数のハエがいたのだろうか。ぼくの子供のころは東京にはイエバエはたくさんいて、小学校ではハエトリ競争があった。1969年に初めてフイリッピンの山奥に行ったとき、山の中のバスの発着所にあった茶店で、おびただしい数のハエが食べ物にとまっていた。本当にパンが見えなくなるぐらいの数だった。けれどハエ、特にイエバエは人間活動と共に増え、ゴミ処理が進んだ近年は、日本では著しく数を減らしている。一茶のころはゴミもぼくの子供のころよりは少なかったと思うから、ハエの数もあまり多くなかったのではと思う。食物が真っ黒になるくらいハエがいたら、こんな俳句も生まれないのではないだろうか。
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