
夫婦で漫才をしている「かつみ♥さゆり」さん。夫のかつみさんは借金王として知られ、結婚当初からなんと1億7000万円もの借金が。極貧生活を支えたのは、「少しでもかつみ♥さんに美味しいものを食べてほしい」という、♥さゆりさんの愛情あふれる「超節約ごはん」だった…!
今回は発売中の書籍「♥さゆり流 愛の節約ごはん」の中から特に印象的なレシピを、笑って泣けるエピソードと共に紹介します。
■ちょっと高そうな名前を付けるだけで、ただのもやしが特別に!
皆さんにも「そうそう!」と共感してもらえると思うんですけど、もやしって安いし、お料理のかさ増しもできるし、食感を残すと食べた感覚も得られる。最強じゃないですか?ただ、“もやしのせいろ蒸し”なんて、かっこいい名前を付けてますが、塩、こしょうをふって、ポン酢で食べるだけなんですけどね(笑)。
それをポンと出すだけだと、ただのもやしを蒸したやつなんですけど、「今日は“もやしのせいろ蒸し”よ〜」と言って出すと、気分が変わるんです。名前がすごく大事で、ほかのメニューでもちょっと高そうに感じる名前を付けています(笑)。
■ルーツはなんと、昭和の大スター・松田優作!
“もやしのせいろ蒸し”は、かつみさん発のネーミングです。かつみさんが、「どんきほ~て」というコンビを組んでいた時代に、大阪の空堀商店街にある「冨紗家」さんで松田優作さんの大好物で“優作鍋”と呼ばれている“豚もやしせいろむし鍋”を紹介するロケをしたんですね。それがすごくおいしかったと話してくれたんです。もやしやしいたけ、豚肉が3段構えになっていて、ポン酢で食べると。それを聞いて作ったのが我が家の“もやしのせいろ蒸し”なので、実はルーツは松田優作さんにあるんです!まあ、そのひもじい版というか……(笑)。昭和の大スターにあやかりながら、いろんな具を引いてもやしだけになり、ポン酢につけて食べるとこだけが生き残りました。
うちのソウルフードになっているということで、「冨紗家」さんに2人でロケにも行かせていただきました。松田優作さんは本当に“豚もやしせいろむし鍋”が大好きで、おうちに郵送までしてもらって食べてはったそうです。
ただ我が家の場合、写真を見てもわかる通り、全然せいろで蒸していません(笑)。でも、せいろ蒸しと聞くとニュアンスが変わる。だから、寂しい感じにならずに食卓も楽しくやってきました。基本、私はノー天気で、かつみさんは私に輪をかけての“超”ノー天気。かつみさんは人生で出会ったことのないぐらい、ネガティブのかけらもない人なんです。マネージャーさんに聞いたら、きっと「ヤバい」って答えるぐらい、ヤバいんです(笑)。もう少し見極めるところがあってもいいと思うんですけどね。だから失敗するんですよね。でも、失敗しても平気なんです(苦笑)。
■飴ちゃんで空腹をごまかし、50円玉だけを握ってもやし売り場へ直行
今回は、“もやしのせいろ蒸し”の豪華版です!豚肉が上にのってます。もやしを洗わずにそのまま入れちゃいます。どうせ蒸すのにお水を入れますから、洗うつもりで上から水をかけるんです。そこに塩、こしょうをふって、豚肉をのせられる日はのせる。この豚肉の量も、日によって違います。
新婚当時は常にお腹が減っていて、そのままスーパーに行ってしまうとあれもほしい、これもほしいとなってしまうことがわかっていたので、行く前に飴ちゃんを舐めて食欲をごまかし、50円だけ握りしめてもやし売り場に直行していました。
日によってはもやしが安く、2袋買えることも。その日は贅沢食卓でした! ただ、もやしが続いてしまうので、そうなった時にいかにいろんなパターンを出せるかが、知恵の見せどころでした。せいろ蒸しだけじゃ、飽きられちゃいますからね。最初はパターンが少なかったけれど、徐々に増えていきました。意外なところではおみそ汁です。もやしの水気が出るとおいしくなくなるので、ざっくり2~3等分に切って、最後の方に放り込んで食感を残すとおいしいんですよ。当時はかつみさんがお仕事に行くと、どれぐらい食事できるのかわからなかったので、かつみさんにちょっとでも多く食べさせてあげたかったんです。だから朝、バイトを終えて帰ってきたら、「もう食べたよ」と言って、ほとんどかつみさんにあげてたんです。
だけど、それで私、20歳の時に救急車で運ばれ、栄養失調と診断されたんです(笑)。平成の世に栄養失調ですよ! でも、そりゃそうですよね。かつみさんに食べたってウソをついて、食べてなかったんですから。一時期、吉本新喜劇に在籍させていただいたことがあるんですが、その当時も出番が終わってソデに下がったところで倒れて救急車で運ばれたことが何回かありました。私はすっかり忘れていたんですけど、いまだに新喜劇の内場(勝則)兄さんとかに言われます。今こうやって元気にやってるのが「信じられへん」って。「あの姿を見てたのに、ボヨヨーンとか言い出して、ホンマにびっくりしてんねん」と言われます(笑)。
かつみさんは本当に私が食べていると思っていたので、ケンカにはならなかったです。ただ、その後、「かつみ♥さゆり」として2人でお仕事をするようになったら、ロケに行けばロケ弁が出て、テレビ局に行けば楽屋にお弁当とかお菓子があって、仕事先でいろいろ食べ物が出てくることを知ったんです!食べといたらよかったなと思いました(笑)。
■もやしのせいろ蒸し
材料
もやし
豚バラ肉
白ねぎ
塩
こしょう
ポン酢しょうゆ
※材料はすべて目分量
作り方
①鍋の準備
お鍋に水をはり、蒸し器の上にもやし、豚肉をのせる。
②味付けし蒸す
塩、こしょうをふり、蒸すだけ。豚肉に火が通り、もやしの歯ごたえが残るくらいが目安。
③白ねぎをのせて完成
小口切りにした白ねぎの青い部分をのせる。ポン酢しょうゆにつけて食べる。
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