緑のgooは2007年より、利用していただいて発生した収益の一部を環境保護を目的とする団体へ寄付してまいりました。
2017年度は、日本自然保護協会へ寄付させていただきます。
日本自然保護協会(NACS-J)の活動や自然環境保護に関する情報をお届けします。
ニホンジカの増加は、日本の森における最大の課題です。農林業の被害や生態系の破壊など、たくさんの問題を抱えています。ニホンジカの問題は、いま各地で対策が行なわれていますが、被害が確認できるほど数が増えてしまっては、捕獲はもちろん、傷ついた森林管理に膨大なコストが必要となります。
このような状況のなか、日本自然保護協会では、シカの被害が起きる前の段階で管理・対策が行われていないことに着目しました。森林が長く健全であるためには、シカが増える前の“低密度”の状態で管理することが、不可欠ではないかと考えます。そこで、群馬県の赤谷の森をフィールドに、日本初となるニホンジカの低密度管理を今年度より行います。害獣として扱われるシカを生み出さない、野生動物と共存する新しい技術の開発に向けて、皆様からのご支援をお願いしています。
群馬県みなかみ町にある赤谷の森は、昔ながらの森の姿を取り戻すために、日本自然保護協会が活動を行ってきたエリアです。2017年にはユネスコのエコパークにも認定されました。赤谷の森では、シカが激増しているわけではないものの着実に個体数が増え、10年後にはかなりの数になることが予想されています。その対策として、早い段階(=低密度)でシカの頭数制限を行なっていくことが、このプロジェクトの重要なポイントです。
ニホンジカがまだ少ない段階で効率的に捕獲するためには、学習したシカをつくらないことが重要と考えられるため、シャープシューティングを中心に、低密度エリアにおけるニホンジカの試験的な捕獲を開始し、捕獲技術開発を行ないます。3年間をメドに蓄積した情報と技術は、ニホンジカの高密度化が見込まれる地域で活用できるよう積極的に発信していきます。
スマートディアを増やさない
10頭のシカに遭遇した場合、すべてのシカを獲ることはできません。生き延びた残りのシカは、銃の音や人の気配に敏感となり、警戒心の高いシカに変身してしまいます。そういったシカをスマートディア(スレジカ)と呼びます。スマートディアが増えると、捕獲の効率は悪化し、多くのコストがかかってしまうのです。
シャープシューティングを導入
それではシカ10頭に遭遇した場合、どうすればいいでしょう? 答えは、何もしないことです。そのかわりに、3頭程度以下の少数のシカに遭遇した際には全頭を猟ることを目指します。海外ではこのような猟の仕方をシャープシューティングと呼んでいます。スマートディアを生み出さないための技術の一つです。
今回のプロジェクトは、シャープシューティングを中心に、米国ホワイトバッファロー社などの海外の先進的な捕獲技術を積極的に日本に紹介しているエゾシカ協会の協力により実施します。捕獲技術開発のためには、捕獲そのものに係る費用の他、シカを誘引する鉱塩の設置、自動撮影カメラによるシカの行動把握や解析等、複数の調査を実施する必要があります。また、継続的な捕獲を実施するためには、捕獲したシカのことも考えなくてはいけません。このプロジェクトでは、捕獲したニホンジカを地域資源として有効活用する試みも行なっていきます。
今年度、この取り組みを進めるためには最低でも300万円の活動費用が必要です。皆様からのご支援よろしくお願いいたします。
※日本自然保護協会の「シカと人の未来のための日本初の新プロジェクト」については以下ページよりご覧ください。
http://www.nacsj.or.jp/2017/08/6077/>