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2017年度は、日本自然保護協会へ寄付させていただきます。
日本自然保護協会(NACS-J)の活動や自然環境保護に関する情報をお届けします。

増えすぎるシカの問題に新たな手法で挑む!
シカと人の未来のための日本初の新プロジェクト

  • 2017年9月26日
  • NACS-J

ニホンジカの増加を止め、害獣から森の住人へ

 ニホンジカの増加は、日本の森における最大の課題です。農林業の被害や生態系の破壊など、たくさんの問題を抱えています。ニホンジカの問題は、いま各地で対策が行なわれていますが、被害が確認できるほど数が増えてしまっては、捕獲はもちろん、傷ついた森林管理に膨大なコストが必要となります。
 このような状況のなか、日本自然保護協会では、シカの被害が起きる前の段階で管理・対策が行われていないことに着目しました。森林が長く健全であるためには、シカが増える前の“低密度”の状態で管理することが、不可欠ではないかと考えます。そこで、群馬県の赤谷の森をフィールドに、日本初となるニホンジカの低密度管理を今年度より行います。害獣として扱われるシカを生み出さない、野生動物と共存する新しい技術の開発に向けて、皆様からのご支援をお願いしています。
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プロジェクトの舞台は「赤谷の森」

 群馬県みなかみ町にある赤谷の森は、昔ながらの森の姿を取り戻すために、日本自然保護協会が活動を行ってきたエリアです。2017年にはユネスコのエコパークにも認定されました。赤谷の森では、シカが激増しているわけではないものの着実に個体数が増え、10年後にはかなりの数になることが予想されています。その対策として、早い段階(=低密度)でシカの頭数制限を行なっていくことが、このプロジェクトの重要なポイントです。
 ニホンジカがまだ少ない段階で効率的に捕獲するためには、学習したシカをつくらないことが重要と考えられるため、シャープシューティングを中心に、低密度エリアにおけるニホンジカの試験的な捕獲を開始し、捕獲技術開発を行ないます。3年間をメドに蓄積した情報と技術は、ニホンジカの高密度化が見込まれる地域で活用できるよう積極的に発信していきます。

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スマートディアを増やさない
 10頭のシカに遭遇した場合、すべてのシカを獲ることはできません。生き延びた残りのシカは、銃の音や人の気配に敏感となり、警戒心の高いシカに変身してしまいます。そういったシカをスマートディア(スレジカ)と呼びます。スマートディアが増えると、捕獲の効率は悪化し、多くのコストがかかってしまうのです。


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シャープシューティングを導入
 それではシカ10頭に遭遇した場合、どうすればいいでしょう? 答えは、何もしないことです。そのかわりに、3頭程度以下の少数のシカに遭遇した際には全頭を猟ることを目指します。海外ではこのような猟の仕方をシャープシューティングと呼んでいます。スマートディアを生み出さないための技術の一つです。

キーワードは低密度管理


 低密度管理の試みはとても先駆的なものですが、これまで5年にわたり、行政、猟友会、専門家、地域住民、自然保護団体が集まり意見を交わしてきました。そういった地道なプロセスと科学的なモニタリングがあってこそ導き出された取り組みといえます。
 赤谷の森では、2008年よりシカのモニタリングを行なっています。一般的には、シカが増加してから調査を行うため、その前段階のデータがあることはとても貴重なことといえます。2016年までのシカの分布変遷を見ると、出現地点数は8年間で8.5倍に増えていることがわかります。また、3年間の植生調査では、ニホンジカによる摂食地点数が約3倍に増え、深刻な影響を受けている湿地も確認されました。
 今後、赤谷の森では、専門チームとともに、シカの低密度管理技術の開発に向けた試験的な活動を行い、3年間をメドに情報と技術の蓄積を目指します。

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捕獲技術開発のためのご寄付のお願い

 今回のプロジェクトは、シャープシューティングを中心に、米国ホワイトバッファロー社などの海外の先進的な捕獲技術を積極的に日本に紹介しているエゾシカ協会の協力により実施します。捕獲技術開発のためには、捕獲そのものに係る費用の他、シカを誘引する鉱塩の設置、自動撮影カメラによるシカの行動把握や解析等、複数の調査を実施する必要があります。また、継続的な捕獲を実施するためには、捕獲したシカのことも考えなくてはいけません。このプロジェクトでは、捕獲したニホンジカを地域資源として有効活用する試みも行なっていきます。
 今年度、この取り組みを進めるためには最低でも300万円の活動費用が必要です。皆様からのご支援よろしくお願いいたします。

※日本自然保護協会の「シカと人の未来のための日本初の新プロジェクト」については以下ページよりご覧ください。
http://www.nacsj.or.jp/2017/08/6077/>

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(松井宏宇/(公財)日本自然保護協会 自然保護部 赤谷担当)

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