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(NY)vol.8 アートとエデュケーションとアグリカルチャー、ロハスが息づくキャッツキル

  • 2009年5月14日

秀明自然農法との出会い

伴さんと奥さんのめぐみさん、息子の和真くん
農園のマネージャー伴さんと奥さんのめぐみさん、それに息子の和真くん。写真は伴さん提供
 ピーターさんは農園を始めるにあたり有機栽培を目指したが、友人を通じて日本の岡田茂吉が提唱する秀明自然農法を紹介され、その導入を決めた。
 2003年に秀明から伴憲司さん夫妻が農園に派遣されてキャッツキルでの秀明自然農法による耕作が始まった。 友人からキャッツキルの田舎で農園をしている日本人がいる、と聞いて早速出かけてみた。まだ土が凍る春の初めに友人と共に農園を訪れると、伴(憲司)さんが笑顔で出迎えてくれた。畑にはまだ何も植えられてはいないが、憲司さんと奥さんのめぐみさんは親切に自然農法の農園について説明をしてくれた。


自然がすべての秀明自然農法

ナチュラル・アグリカルチャーファーム
伴さんが手がける秀明自然農法による見事なナチュラル・アグリカルチャーファーム。写真は伴さん提供
 「自然がすべてを教えている」と岡田氏が述べているように、この農法の理念は自然尊重、自然順応であり、清浄な土、自家採取された種子、生産者の作物への愛情と大地への感謝を大きな特徴としています」簡単に言うと、自然栽培法はオーガニック栽培に比べ、より自然に近い栽培方法と言える。オーガニック(有機栽培)に使われる 農産、畜産廃棄物はここでは全く使われない。枯れ葉などの林産廃棄物を成熟させた肥料のみが使用される。「土が本来持っている力を発揮させることが本農法の特長」と憲司さんは言っている。米国にも日本にも「オーガニック」の認定はあるが、「ナチュラル」という公式認定ないのが残念と憲司さん。


インゲン豆の種
昨年採取したインゲン豆の種、自家採取は自然農法では欠かせない
 だが農園を開始して5年、今ではサラダに使われる葉野菜からズッキーニ、インゲン豆類、キュウリ、トマトまで15種にも及ぶ野菜を栽培している。高地で夏は短く気温がそれほど上がらないが、レタスやトマトは一夏で500ポンド以上の収穫があると憲司さんは言う。収穫された野菜は財団の店で販売される他に、近所のレストランやグリーンマーケットなどでも販売している。
 価格的にはオーガニックに比べやや高めだが、一度その味を経験すると病み付きになるほどの美味しさが楽しめるとあって、品切れが耐えない。同農園の自然栽培の野菜を食べると「元気がでる」という人も多いと憲司さんは説明する。憲司さんは自然栽培の野菜は体内でエネルギーを使わずに消化するためと説明する。「外食すると疲れるんですよね」と憲司さん。非自然栽培の素材を使った料理を食べると消化するのに体がエネルギーを使い果たすのではないかと。


農園を囲むフェンス
農園を囲むフェンスはダワシェルパ (Dawa Sherpa) さんが創ったもの。ダワさんはネパールの少数民族で元はヒマラヤ山脈のツアーガイドであったと言う。彼はこの自然農園で働いているが、スケッチもなしに周辺にある木を集めてフェンスを創っていくという。生まれながらのアーテイストなのだ
 秀明の自然農法は、「土を尊び、土を愛し、土を清浄にすることによって、土が本来持っている力を発揮させることが特長」という。「土が本来持っている生命を育む力を自然力とよび、自然力は、太陽・月・大地からそれぞれ放射される3つの力が融合することによって発生する」と説く。
 また憲司さんは、「実を大きく育てない」のも自然農法の考え方だと言う。実を大きく育てると「味が薄れる」。種の採取は毎年欠かせない仕事で、この農園で取れた種が「この土地の特色を一番良く知っている」という。
 この考え方がエネルギーが湧く美味しい農作物生む秘密なのかもしれない。農園ではインターン制度を設け、一般の人々が参加して日本で生まれた自然農法を日本人の手によってこのキャッツキルの片田舎で指導している。
 アートと教育を通じて新たなライフスタイルに触れる機会を提供し、村をサステイン(Sustain)する。自然農法を通じ農地と食をサステインする。自然は神が創ったアートである。破壊することなくいつまでもサステインさせたい。アートとエデュケーションとアグリカルチャー、新しいLOHASの要素として注目したい。


自然農法の指導
マウンテントップに住む子供たちを集めての自然農法の指導。写真は伴さん提供
案内雑誌 guide と財団の催し案内折込
キャッツキル・マウンテン・ファンデションが毎月発行する地域の案内雑誌 guide と財団の催し案内折込

■ 筆者紹介
Paul Yamaguchi
Paul Yamaguchi
NPOローハスクラブ ニューヨーク支局 トレンド情報誌の先がけとなった「PRONTO」や「USフードジャーナル」の編集長を務め、現在は健康食品ビジネスコンサルタント会社を運営し、英文の日本の健康食品市場レポートを発刊しているポール山口さんがレポートします。
pya@ix.netcom.com
http://www.functionalfoodsjapan.com/index.html

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