CMFの代表ピーターさんと農園を担当する伴さん こんなNYの片田舎的な土地にロハスコミュニテイーを育てる団体がある。ピーターフィン氏はNYのグローバルPR会社、ルーダーフィン社 (Rouder・Finn Inc)の代表の一人。彼のお祖父さんがこの地に住んでいた60年代にピーターさんは週末や夏休みを過ごした記憶があるという。
そのピーターさんが90年代に観たマウンテントップは子供の時の光景とは一変し、廃れた活気のない村と化していた。お祖父さんから受け継いだ家を改装している時に「ここは自分が育った懐かしい土地」と気付き「何とか活気のある地域にしたい」と村の再生に力を注ぐ。
彼が最初に手がけたのが老朽化して売りに出されていた村の映画館。映画の好きなピーターさんはこの映画館を買い取り、ハリウッド映画と共にインデペンデントの小映画や外国映画を上映するモダンな映画館に改装し1998年にオープンさせた。最新映画、ましてはインデペンデント、外国映画などこの村では見ることが出来なかったマウンテントップの人たちにとって、新しい映画館は何よりもの娯楽であり、アートに触れる機会をもたらした。さらに翌年にはライブコンサートやパフォーマンスアートを催すドクトロウセンターフォザアート(Doctorow Center For The Arts) を隣接させ、アートを通じ村の復活を目指した。
改装され新たになった映画館とドクトロウセンターフォザアート
アートと教育それに食を提供するビレッジスクエアーも建てられた
アートセンターの開設と共にピーターさんはアートと教育それに持続性をテーマとした農業を通じ、町の再生を目指す非営利財団、キャッツキル・マウンテン・ファンデーション(Catskill Mountain Foundation, CMF) を1998年に設立させる。その後ブックストアーやアートギャラリー、ナチュラルフードストアー、カフェ等が入ったハンタービレッジスクエアーをも新設。ハンターから数キロ北の村、シュガーメープルス (Sugar Maples) には地域に住む大人や子供たちを対象としたアート教育施設(Sugar Maple Center For Arts & Education) を開き、アートを誰もが経験し楽しめ学べる施設を作り上げる。
ピーターさんは活気を失ったこの地域をアートと教育サスティナビリティーをテーマに復活させたいと願っている。だが、近辺の村々の人口をあわせても5千人程度、半径50キロ圏内でも1万人程度。施設をサポートするには十分でない数字。財団として州政府や郡からの補助金は受けているものの、運営は決して楽ではない。急速な経済の低迷で例年程の寄付は期待できない。財団の発刊物guideの広告収入も昨年に比べ落ちていると話す。ピーターさんはこれは20年30年の長期計画だと話す。いずれは、音楽のタングルウッド(Tanglewood, MA) やシェクスピアーフェステバルで知られるカナダのストラトフォード (Stratford, Canada) のような町にしたいと願っている。
シュガーメープルスの村に建てられたセラミックアートセンター
古い教会はアートスタジオに
CMF本部オフィス裏のアート ピーターさんが力をいれているプロジェクトに農業がある。ピーターさんは何かを生み出すという意味で農業とアートに何かのつながりがあるのではないかと考えていた。幸いに、財団がシュガーメイプルス村で老朽化したリゾートホテル施設と土地を譲り受ける機会に見舞われ、その地に農園の開発を始める。
ピーターさんはこの農園を環境維持と持続可能性(サスティナビリティー)を求めた地域活性化の農地開発とした。荒れ果てた50年代のリゾート跡地を農園に仕上げるまでに3年の歳月を要したという。
特にキャッツキルは岩の多い土地柄、岩の除去に時間を要した。農園の片隅には今でも山のように積まれた岩や石が残っている。それでも2003年には4.5 エーカー(約1.8ヘクタール)の耕作面積とその後2棟のグリーンハウスが完成し、シュガーメイプルス・ナチュラル・アグリカルチャーファーム (Sugar Maples Natural Agriculture Farm) として農園は開かれた。
農園は老朽化したリゾート施設の敷地内に開発された