ゴールのスタジアムからの景色
スタジアムにゴールするランナーたち
特定のランナーだけではなく、全ての層の市民が楽しみながら参加でき、新たな試みがなされ年々進化するレース。フランク氏の思いが詰まったボルダーボールダーのクライマックス、ゴールとなるフォルサムスタジアムがとにかく素晴らしい。その大きさと迫力は群を抜いている。スタジアムはコロラド大学ボールダー校のキャンパスの一部だがこの日は一般にも解放されるため地元のレースファン、そして先にゴールしているランナーが観客席を埋め尽くしている。
東京ドームとほぼ同じ収容人数を誇るフォルサムスタジアムへ一歩足を踏み入れると5万人を越す観衆からの大歓声に息を飲む。まるでオリンピックの舞台でゴールしたかのような感動に包まれるのだ。思わず鳥肌が立ち涙する人も多い。ゴールラインを踏んでから見上げるスタジアムの後ろにはロッキーマウンテンとどこまでも続く青い空。美しく壮大な眺めである。
観客席に腰を落ち着け、大会から提供されるスナックやビールを飲みながら最後に行われるエリートランナーのレースを楽しめる。今年は日本女子代表チームを含む10カ国が参加した。
戦没者記念式典の風景
スタジアムではそのまま閉会式と戦没者記念式典が執り行われる。毎年スカイダイバーがスタジアム上空から星条旗をまとって飛び(今年は強風のため飛ばなかったが)、空軍の曲芸飛行も見所だ。式典では自国を守り勝利へと導いた軍人たちの逸話が紹介される。今年は部族独自の言語を駆使して戦ったナバホ族出身の暗号通信部隊の方のお話が印象的だった。アメリカ国民の愛国心を間近に見られる機会でもある。
「大胆な、勇敢な、冒険好きな、自由な」という意味がある「Bold」と「Boulder」の地名を掛け合わせた粋な大会名が私はとても素敵だと思う。一向に出口の見えない世界経済不況、加速する環境破壊…、明るい話題が見いだしにくい時代に生きる私たちに今何より必要なのはこの「Bolder Boulder」の精神なのかもしれない。タイムだけを気にして走るより、「走ること自体を自分なりに自由に心から大胆に楽しむ」こと。人生そのものに置き換えられそうだと思うのは私だけではないはずだ。