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(Boulder)vol.10 アメリカはグリーンにチェンジするか?

  • 2009年2月19日

「ホワイトカラー」も「グリーンカラー」へ

共同シンポジウム
コロラド大学ボールダー校とNRELの共同シンポジウムの様子(2006年開催)by http://ei.colorado.edu
 バイオ燃料、ハイブリッド車開発、電力供給網の効率を高める研究など、高い技術を必要とし従来ホワイトカラーと呼ばれていた仕事の多くも徐々に「グリーン」化している。エンジニア、学者、コンピュータ・プログラマー、その他の専門職は今後更に連邦政府によって設置された国中の研究施設での就職の機会が広がるだろう。
 そして今や、国中の大学が「Green MBA」なる学位を奨励している。これらのプログラムでは社会学、経済学、そして環境学的なビジネスパースペクティブを学び、その多くが地元の環境系産業でのインターンシップの機会を提供してくれる。例えばボールダーは、国立再生可能エネルギー研究所 (The National Renewable Energy Laboratory NREL)を郊外に有しており、コロラド大学ボールダー校の学生は研究所所長や技術責任者との交流を通して風力や太陽光、バイオテクノロジーなどの代替エネルギー分野における最先端の研究に現場で直に触れることができる。「Green MBA」は机上の科学技術者を育てるだけでなく、環境に対する意識を持った未来のビジネスリーダーの育成を目指している。


「Change」への道のり

アイゼンハワーが建設した全国ハイウェイ網
アイゼンハワーが建設した全国ハイウェイ網(1965年当時) wikipedia.com  ※クリックで拡大
 2009年2月17日、オバマ大統領はコロラド州デンバーで「The American Recovery and Reinvestment Act」と名付けられた景気対策法案に署名し、政権発足1か月を前に実に速やかに大きな公約を果したことになる。
 「ボールダーのような世界初のスマート・グリッド・シティ(Smart Grid City)を見本に、これを目指す形で我々の取り組みはこれからも進んで行く」(オバマ大統領署名演説より抜粋)
 オバマ大統領の「グリーンカラー革命」の第一歩が、まさにこの対策法の一部分として存在している。しかしこの景気対策法はグリーンカラー革命の礎として期待されると同時に、その予算の巨大さ故に多くの慎重論を引き起こしていることもまた事実である。

 昨年暮れのNYタイムズでは、この革命に費やすコストについて、過去アイゼンハワーが75,376kmにも及ぶ全国的な高速道路システムを構築した際の経費を引き合いに出してその是非を議論している。アイゼンハワーのこの計画は、第二次世界大戦中にアメリカが経験した物資輸送時の不便さの反省の上に成り立っており、1,140億ドル(現在の貨幣価値で4,250億ドル相当)をかけて建設されたものである。当時、戦後のアメリカにとってこれは相当な負担となったが、その後の経済発展に大きく寄与したことから、国として有意義な投資だったと言える。


ワシントンDCで
ワシントンDCで by Lindsey Wolf on elephantjournal.com
オバマ大統領のイラスト
オバマ大統領のイラスト by Ben Heine on flickr.com
 そして今、オバマ大統領の「The American Recovery and Reinvestment Act」がアイゼンハワーの政策を小さく見せるほどの規模で誕生した。納税者に7,870億ドルもの巨額コストを負担させる合衆国史上最大の景気対策法となる。スマート・グリッド計画のようなエネルギー問題をはじめとした環境対策分野には差し当たって430億ドルが投入され、その他の予算はインフラ整備や教育現場、福利厚生と健康保険の改善、そして減税措置などに充てられる方向だ。この景気対策法で興味深い点は、「recovery.gov」というウェブサイトが設置されたことである。この巨額予算がどうやって使わたのか、その使途を全てのアメリカ国民がオンラインでいつでもどこからでも確認する事ができるのだ。

 一部の人々は「大きな政府」が出現し、子どもたちが将来「高い税金」という名の重荷を背負うことになりはしないかと懸念しているが、私はそうは思わない。「グリーンカラー革命」の基礎を敷くための迅速かつ断固とした政府の最初の行動だったと評価し、「グリーンカラー革命」こそが新しい経済を創造し、アメリカと世界を悪夢の中から救い出してくれるのだと信じたい。

 セントラル・パークの群衆の声が私の耳にも聞こえる。「グリーン・カラー・ジョブはわれわれの未来そのものだ。私たちはオバマ大統領に知らせたい。グリーン・カラー・ジョブが真の新しい経済たり得ることを。そしてこれはただのクリシェ(常套句)ではないと言うことも」と。

■ 筆者紹介
サミュエル D グッドマン
サミュエル D グッドマン
Colorado House International, LLC 代表。コロラド州生まれ。コロラド大学ボールダー校心理学部を卒業後、約5年間に渡り、シンガポールと日本の公立及び私立の小中高校、各種企業・政府機関で英語を教える。アメリカに帰国後、コロラド州ボールダーで「コロラドハウス」を立ち上げる。Boulder Green Building Guild 執行委員、Boulder LOHAS Guild 共同創設者。
http://www.coho-online.com/cms/
info@coho-online.com (お問い合わせは日本語でどうぞ)

 

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