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Vol.14 写真家としてニューヨークで第一歩。レンズのむこうは…
フォトグラファー 長谷良樹さん

  • 2009年9月1日

写真を撮るたびに世界は何もかも未知!?

 長谷さんは大学を出てから3年間大手の総合商社で働いていて、「残念ながら自分の時間を過ごしているという感覚がほとんどないまま過ごしました。でもそのことにあるとき耐えられなくなったのです。むなしくてつぶれそうになりました。飢餓感というか、心が何かに飢えていたのだと思います。お金があっても仕事があっても満たされないことはたくさんあります。実感が欲しかったのです。ニューヨークに行ったのは写真を始めるためというよりも、今までの自分を辞めるため」だったそうです。

写真
ニューヨークでの展覧会。自分達の写真を前にするメアリーとアンソニー
 「写真を本格的に始めたのは、会社を辞めてニューヨークに行ってからです。数年間は写真家の助手をしたりしながら生活していました。その後独立して今に至ります。

 写真を撮るたびに世界は何もかも未知だと思います。地理的な意味でなく、どこに行っても、名前もないような場所でも思いもよらぬ人がいて、その人たちだけの実感と時間があります。僕は生きているあいだに、できるだけ大きな喜びを感じたいと思っています。でも大きな喜びを感じるには、その前に大切なことがあると思いました。なかなかうまく表現できないのですが、喜びに行きつく前段階にあるとても個人的なモチベーションです。飢餓感のようなもの、満たされない気持ち、そういうものを見失わないようにしたいと思っています。それが僕の力です。
 ある意味、ネガティブな気持ち、悲しさ、そういったものを秘めているのが自分や世の中だと思っています。でも、そういうものがポジティブで健全なものに変わっていく過程が、僕の体験したいことです。そういう気持ちの変化が生きることだと思っています。その変化は誰にもあって、外見に現れるものです。それを撮りたいと思っています。それが僕の写真のアプローチです。表面的なものではない一枚裏の美しさに僕は感動してきました。僕はそれを誰にでも分かるように美しく撮りたいのです。あるべき姿に撮りたいのです。それが僕にとっての写真です。大きな一体感のある喜びを感じていきたいと思っています」


今後の制作活動は・・・・

写真
ニューヨークでの展覧会で 長谷良樹さん(中央)

 HOUSING WORKSの人たちの写真の発表活動は今後も続けていき、写真集という形で出版する話もでてきているそうです。そしてまたあらたなテーマの作品の制作を始めたようで「今度は人だけではありません。また少し違ったアプローチの写真ですが、根本的には同じです」ホームページなどでも活動を報告していきたいとのことです。

 「なにか切ないような、さびしいような思いを心にかすかに持ってものづくりをしているとき、僕は自分が自分であるような気がします。人はかならずまず一人であって、その段階で自分なりの「消化」があってはじめて、まわりの強い反応や期待以上の繋がりができてくるようです。僕は被写体の人をも、ついついそんな目で見てしまうことがあって、どこか孤独っぽさを抱えている人に魅力を感じてしまいます。一人のミュージシャンが人に語れない葛藤やもろい自分を燃焼する姿に、感動を抱いてしまうのに似ています。
 いい写真や音楽には、ほのかに孤独の匂いがありませんか?」



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